健康・病気・薬

2015年2月3日

副作用モニター情報〈430〉 プレガバリン(リリカ(R)カプセル)による副作用 第3報

 プレガバリン(製品名:リリカ(R)カプセル)の副作用第3報です。第1報を当情報353回(本紙2011年6月20日付)、第2報を同371回(12年5月17日付)に掲載しました。帯状疱疹後の神経痛に使用されてきましたが、2010年に神経障害性疼痛へ適応拡大後、使用量が大幅に増え、過去1年間で副作用報告は115例171件にのぼりました。
 主な副作用は、めまい36件、ふらつき22件、眠気19件などの精神神経系の副作用が多く、浮腫16件、体重増加6件、悪心、嘔吐などの消化器症状が17件報告されています。ほかにも、腎不全や肝機能障害、発疹、思考障害など様々な副作用が報告されています。副作用報告の70%が70歳以上の高齢者で、ほとんどが75mgから開始し、投与初期に中止していました。75mgは、添付文書通りの開始用量ですが、使用上の注意として、腎機能別による用法用量の追記がされています。添付文書上の用法用量は治験での承認用量でもあり、変更は難しいそうですが、第1報、第2報でも提起したように、腎機能に関係なく、高齢者の場合は25mgからの開始が望ましいのではないかと考えます。

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 今回、腎機能正常で思考障害の副作用が報告されました。症例は以下の通りです。
症例)40代男性、薬剤師。末梢神経障害による足の痛みで、アミトリプチリン塩酸塩(製品名:トリプタノール(R)錠)10mg分1を就寝前に開始、4日後プレガバリン(製品名:リリカ(R)カプセル)50mg分2に変更。その3日後、100mg分2に増量、さらに2日後からアミトリプチリン塩酸塩を併用し、4日後150mg分2に増量、さらに3日後200mg分2に増量。翌日の仕事中、計算機で割り算をしようとしたがその方法が分からず、ただ計算機を叩くことしかできなくなったため、プレガバリンの思考障害を疑い、その日の夕刻からプレガバリンを中止。しばらく思考障害は続き4日後に回復した。その後も頭がすっきりしない状態はしばらく続いた。
 この症例では、医療従事者であったため、自身で気付く事ができました。しかし一般的には、家族など他者が異変に気がついて初めて薬を疑うことになり、対応が遅れる場合もあります。本人だけでなく家族からも変わったことはないか聞き取ることが必要です。認知症と誤診されるケースがあるかもしれません。思考障害は用量依存的に起こり、回復まで時間がかかることもあり注意が必要です。

(民医連新聞 第1589号 2015年2月2日)

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