健康・病気・薬

2015年2月17日

副作用モニター情報〈431〉 口腔内崩壊錠による副作用

 最近、口の中で溶ける薬、口腔内崩壊錠(Oral Disintegrant錠、略してOD錠)が増えてきています。
 口腔内崩壊錠は、次のような特徴を持っています。(1)薬を飲み込むことが難しい人に向いている、(2)透析を受けているなど水分の摂取制限のある人に向いている、(3)水分を必要としないので外出先での服用に便利、といったところでしょう。通常の薬剤と同様に、水で服用することも可能です。OD錠とは口腔内崩壊錠のみを指し、D錠と呼ばれる速崩錠とは区別されます。
 メリットの多い口腔内崩壊錠ですが、当モニターに次のような報告が寄せられました。
症例)60歳代、女性、アトルバスタチン錠をアトルバスタチンOD錠に変更したところ、1週間後に舌先に口内炎が出現。自己判断で休薬。中止して3週間後には、口内炎は改善した。

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 口腔内崩壊錠は、もとの錠剤と違う添加剤を使って、水を飲んだり、かむ必要がなく服用できるようにした薬剤です。成分は同一でも、他と全く同じ薬剤というわけではありません。実際に水無しの状態で服薬すると、高齢や口渇などの原因から、薬剤が口腔内に停滞する可能性があります。その際、口腔内に残った薬剤や添加剤が原因で口内炎が発生したと考えられます。
 口腔内崩壊錠の添付文書の「基本的注意」には「口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むこと」と記載されています。口の中で早く溶けますが、口の中で吸収されるわけではない、ということです。また、添付文書には、「寝たままの状態で水無しで服用しないこと」とも記載されています。
 口腔内崩壊錠は、水無しで飲めるメリットがありますが、単品でない限りは、できるだけ水といっしょに服用するのが良いでしょう。水といっしょに服用することで、「甘すぎる」「味が混じって気持ちが悪い」などの口腔内崩壊錠の「味」(薬剤の苦味を消すための味付け)の問題も回避できます。

(民医連新聞 第1590号 2015年2月16日)

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