健康・病気・薬

2015年3月17日

副作用モニター情報〈433〉 フスコデによる腸閉塞

 フスコデは咳止めとして用いられています。
 これまでに当モニターに報告されたフスコデの副作用をまとめると、最も多かったのが便秘で13例、排尿困難と尿閉が計13例、次いで、発疹と薬疹が計13例、めまい4例、動悸3例、以下、1~2例の副作用が続きました。重篤なものでは、腸閉塞が1例、今年度に報告されています。
 2000年頃までは総合感冒剤のPL配合顆粒やペレックス配合顆粒との併用で、尿閉や排尿困難、便秘などの副作用報告が多くみられましたが、最近は抗ヒスタミン剤の重複を避けるようになったためか、併用例での報告はなくなりました。

*       *

 そこであらためて注意を喚起したいのが、腸管の蠕動(ぜんどう)運動を抑制する作用のあるジヒドロコデインが関与する便秘です。フスコデには、3種類の薬効成分が配合されています。錠剤では、ジヒドロコデインリン酸塩3mg、dl メチルエフェドリン塩酸塩7mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩1.5mgです。1日量の9錠なら、それぞれ27mg、63mg、12mgになります。
 今回報告された腸閉塞の症例は、開腹手術歴があるため、それによる腹膜癒着で腸閉塞を起こすリスクが高い患者でした。そうした危険があるにもかかわらず1日量である9錠を投与したことが、腸閉塞の引き金になったと考えられます。
 コデインを処方するときは酸化マグネシウムなどの下剤を併用するなどの工夫をしている場合がほとんどだと思いますが、この症例では併用されていませんでした。
 ジヒドロコデインはコデインよりも作用が強く、ジヒドロコデイン30mgの作用は、コデイン60mgと比べて配合量が少なくみえても眠気がやや弱いこと以外は、鎮咳、鎮痛、止(し)瀉(しゃ)作用について、大きな違いはないとされています。ジヒドロコデインは、処方せんがなくても購入できる咳止めに配合されている場合もあります。フスコデが便秘を起こしやすい成分の配合剤であることを認識しておきましょう。

(民医連新聞 第1592号 2015年3月16日)

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ