医療・看護

2015年3月18日

【声明2015.03.16】「入院食事療養費の自己負担引き上げ案」の即時撤回を求める声明

2015年3月16日
全日本民主医療機関連合会栄養委員会

 厚生労働省は、2015年1月に入院時食事療養費の自己負担額を現行の食材費相当額の1食260円から2016年度には1食360円、2018年度には調理費相当額を含め1食460円に段階的に引き上げる法律案を今国会に提出しました。今回の自己負担額の引き上げ(一部の患者据え置き)が実施されると、1人1ヶ月当たり18,000円を超す大幅な負担増となり、必要な入院治療が受けられない事態を招くことに繋がることが懸念されます。(医療機関に支払われる公的医療保険の給付費を減額するかわりに患者自己負担額を増やすもので、医療機関の収入が増えるわけではありません。)

 もともと入院給食は、治療や薬と同じ療養の保険給付に含まれていました。その中で患者様一人ひとりの病状や栄養状態に応じて栄養管理と食事が提供され、術後の回復や免疫力の向上、感染症の予防など、まさに「医療の一環」としての役割を果たしてきました。
 しかし1994年に保険の給付から外され、入院給食1日600円の定額負担の導入が開始、合わせて食事療養費に要した定額負担については高額療養費の対象外とされました。その後、数回の金額改定がおこなわれ現在の1食260円(療養病床の食費は1日1,380円)となり、今後さらに1食460円に引き上げられようとしています。

 厚生労働省は、今回の値上げを在宅療養との「公平」を論拠にしていますが、現在、生活習慣病が増えている状況があり、私たちは生活習慣病に罹患している在宅患者への栄養管理と食事を保障するべきであると考えています。日本栄養士会は、入院給食の患者負担増には「適切な医療を受ける立場から同意できません」(2014年10月1日)と明確に表明し、在宅療養者にも「管理栄養士による食事(栄養)指導を充実する」ように求めています。

 私たち民医連は「いつでも、どこでも、だれでも」安全安心の医療を受けられる国民の医療制度を守る立場から、これ以上の入院時食事療養費の患者様負担を増やすことを、断じて容認することはできません。合わせて、入院給食を治療や薬と同じ療養の給付に戻すことを強く求めます。そして、憲法25条に基づく人権としての社会保障を実現するため、税金の使い方を改め大企業や富裕層に応分の負担と国庫負担を増やし、国民が安心して受けられる保険制度の確立を国に求めるとともにその実現のために共同を広げ、入院食事療養費の自己負担引き上げの即時撤回を求めるものです。

以上

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