くすりの話

2015年7月31日

くすりの話 180 サプリメントとの上手な付き合い方

イラスト サプリメントは、一般の食生活では不足しがちなビタミンやミネラルなどの栄養素を手軽に補給できるように考えられた食品です。上手に使えば疲労回復などに有効である一方、間違った使い方をすると体調を崩してしまうこともあり、使用する際には、注意が必要です。

Q:どんな時に飲むの?
A:体力がない時、食事が思うようにとれず栄養補給がうまくできない時、仕事や運動がハードで消耗した時などに、栄養を補助・補完するため飲みます。
 サプリメントは正確に言うと薬ではなく、「栄養補助食品」です。体に起こっている病気を治療するためのものではありません。体調が悪いのを、サプリメントでどうにかしようとするのは間違いです。体の不調を治すのではなく、よりよい状態にしてくれるのがサプリメントの本来の使い方です。

Q:多く飲むほど身体にいいの?
A:サプリメントは、とりすぎることでかえって身体に悪影響を起こすことがあります。
 いくつか例を挙げます。
(1)大豆由来成分の大豆イソフラボン
 納豆など大豆食品の長期摂取では見られない影響が、大豆イソフラボンの長期間、過剰摂取では指摘されています。特に、過剰摂取では子宮組織の異常増殖を引き起こす懸念があります。
(2)ビタミン類
 脂溶性と言われる油に溶けやすいビタミンA・D・Eは、水に溶けやすい水溶性ビタミンより注意が必要です。
 ビタミンAを過剰に摂取すれば、下痢や肝機能障害、倦怠感、皮膚障害などに、ビタミンDを過剰に摂取すれば、肝機能障害や嘔吐、倦怠感、さらには尿路結石や腎臓障害、高血圧などに結び付きます。場合によっては、死に至るおそれもありますので注意が必要です。ビタミンEは、摂り過ぎると骨粗しょう症のリスクが高まると言われています。
 また、ビタミンCやビタミンB群といった水溶性ビタミンは、尿といっしょに体外へ排出されるため、脂溶性ビタミンよりも体内に蓄積しにくいですが、過剰に摂取し続けると体内の活性酸素を消去する能力が低下する可能性があります。活性酸素は細胞や遺伝子を傷つけ、老化や病気の後押しをしますが、その活性酸素を自分の力で打ち消す能力が減少してしまうのです。

Q:薬といっしょに飲んでも大丈夫?
A:サプリメントの成分によっては、薬と同時に摂取することにより、薬の吸収を妨げたり、薬の作用を強めたりすることがあります。
 例えば、「カルシウムと強心薬」の飲み合わせは、薬の作用を増強させます。「鉄と甲状腺ホルモン薬」は、薬の吸収を妨げます。薬を服用している人は、健康食品・サプリメントを摂取しないことをおすすめしますが、摂取される際は服用している薬剤名を把握して、飲み合わせの相性を医師や薬剤師に確認しましょう。

いつでも元気 2015.08 No.286

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