副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2010年9月21日

副作用モニター情報〈339〉 ゼチーア錠(高コレステロール血症治療剤)による血糖値上昇

 高コレステロール血症および家族性高コレステロール血症などを適応とするゼチーア錠(エゼチミブ)は2007年6月に発売されました。当モニター に2009年1~3月に寄せられた筋肉痛・脱力感など骨格筋系の副作用と肝機能異常については、当モニター【No.314】で報告しました(2009年7 月24日付)。
 その後も、骨格筋系を中心に、食欲不振、下痢、便秘、口内炎など21例の報告が寄せられています。また、今回初めて、血糖値上昇について報告があったの で紹介します。

【症例】50 代女性。併用薬:ミカルディス、インスリン製剤、メチコバールなど。血糖コントロールはさほど悪くなかったが、プロブコールから本剤に変更して3日目に血 糖値が230mg/dlを超え、その後も200mg/dlを超える状況が続いた。同薬を2週間服用後に中止すると、2日目から回復し、140mg/dl台 に下がった。

 本剤については、 国内の治験で、糖代謝に対する影響を検討する目的で、2型糖尿病を伴う高脂血症患者27人を対象に、非対照試験が実施されています。12週間の観察で、 HbAlc、グリコアルブミンに有意な変化はありませんでしたが、空腹時血糖が変化し、その量の平均値が+16.3mg/dlという結果でした。特にイン スリン製剤を併用していた症例では、101.4±22.1mg/dlから148.0±38.5mg/dlと高くなり、変化量の平均値は+46.6mg /dlでした。インスリン製剤の非併用例では、変化量の平均値が+10.4mg/dlという結果で、インスリン製剤併用例で、空腹時血糖値が上昇する傾向 がみられています。
 この結果を受け、添付文書上では慎重投与の項目で注意喚起されました。発売以来、メーカーには血中ブドウ糖上昇として34例が報告されているとのことで す。
 糖尿病の患者では、高脂血症を合併する割合が多いと思われるので、ゼチーア服用時には、血糖値を注意してフォローすることが必要です。

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