健康・病気・薬

2015年11月17日

疼痛治療剤リリカによる非可逆性の視力障害 副作用モニター情報〈449〉

 前回に続きリリカによる副作用を報告します。視覚障害については、重大な基本的注意に「弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害が生じる可能性があるので、診察時に眼障害について問診を行う等注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと」と記載されています。
 当モニターにこの1年間に報告された視覚障害に関する副作用報告は、霧視2件、視力低下、飛蚊症、各1件の計4件でした。
症例1)30代女性。疼痛に対してリリカ75mg分1開始。開始1カ月後リリカ150mg分2に増量、開始2カ月後にリリカ300mg分2に増量。服用開始19カ月後、両目視力0.6から0.1、片目0.05まで低下。通常、視力矯正で1.0までは改善するが、0.7以上に改善しないため眼科医より薬剤による副作用の可能性が指摘される。
症例2)70代男性。椎間板ヘルニアによる腰痛にてリリカ50mg分2開始。開始5日後、飛蚊症様の症状あり眼科受診するも、加齢によるものと診断。開始7日後リリカ100mg分2へ増量。増量後、症状悪化し自己中止。中止後1週間で症状改善。

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 承認試験時の視覚障害は497例中42例(8.45%)、うち半数が中等度・重度、そのうち、回復は12例、未回復9例、その中には失明した例もあります。副作用が発現するのは、眼球運動を低下・鎮静させるためと考えられるようです。
 当モニターへの報告例では、霧視や飛蚊症は服用開始から比較的短期間で発現していますが、視力低下例は1年半以上服用して気付き、視力矯正も十分にできませんでした。服用直後だけでなく長期間に渡る注意が必要です。患者に視力障害の可能性について知らせ、定期的な視力検査や問診を行い、早期発見することで重篤化を防ぎましょう。
 
※前号の通し番号が誤っていました。
 447(誤)→448(正)に訂正します。

(民医連新聞 第1608号 2015年11月16日)

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