副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2016年2月2日

副作用モニター情報〈452〉 COPDに用いる吸入剤 ~ノバルティス社の製品~

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の薬物療法は、吸入型の抗コリン剤が第1選択となっています。気管支の収縮に関わる迷走神経の緊張を緩和する目的です。第2選択は気管支を拡張するβ2受容体刺激剤で、吸入型、貼付型、内服、と様々な製剤があり、かつ抗コリン剤と同時に吸入できる配合剤も製品化されています。
 製薬企業によって吸入器具(デバイス)に違いがあります。各社、工夫を凝らしており、ノバルティス社は弱い吸気でも確実に吸入できるメリットを持つデバイス「ブリーズヘラー」とセットで製品を供給しています。抗コリン剤はシーブリ、β2刺激剤がオンブレス、それらの配合剤がウルティブロ、です。同社の製品に限れば当モニターへの報告はまだ少なく、ウルティブロでは動悸と口渇の2件、オンブレスでは咳嗽の1件です。

症例1)70代後半、男性。ウルティブロによる動悸。シーブリでは効果がなくウルティブロに変更。吸入から約30分後に動悸が出現、10分くらいの安静で回復するが、吸入のたびに動悸がある。吸入しなければ動悸はない。
症例2)70代後半、男性。ウルティブロによる口渇。アドエア250(ステロイド+β2刺激剤)と抗コリン剤のスピリーバからウルティブロに変更。2週後、吸入後1時間くらいするとまったく唾液が出なくなった。口の渇きはもともとあったがひどくなった。飴などをなめても改善しない。スピリーバに戻すと症状が改善した。
症例3)70代後半、男性。オンブレスによる咳嗽。痰が改善しないため、スピリーバからオンブレスに変更。導入から2週後、オンブレスを吸入するとかえって咳が出て吸えなくなった。抗コリン剤を中止した根拠は不明。

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 いずれも使用開始してから早い段階で問題の症状が現れています。吸入効率が良いからこそ、薬効成分の問題が早期に露見するのかもしれません。

 (民医連新聞 第1613号 2016年2月1日)

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