くすりの話

2001年4月1日

くすりの話 46 市販のかぜ薬でもおこる重篤な薬疹

Q:市販のかぜ薬で重篤な副作用がおこる場合があると薬局に貼り紙がありましたが。

A:皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)という薬疹(薬による発疹)のことだと思います。100万人 あたりそれぞれ年間1~6人、0.4~1.2人ときわめてまれですが、重篤になると失明したり死に至ることもあります。昨年、厚生省に報告されたのはそれ ぞれ199件、102件でした。
昨年、被害者の会が発足し、厚生省に要望書を出すなどの活動を始めたこともあって注目されるようになりました。市販のかぜ薬などで発症することがあるの に、消費者にはあまり知られていないため、製薬会社が消費者向けにポスターを貼りだしたり、医師や薬剤師に注意を喚起したりしています。
皮膚粘膜眼症候群の症状は、突然に発熱やむくみ、水疱をともなう発疹、唇・口のなか・陰部の痛みをともなうただれ、眼の充血などがおこり、次第に全身に広 がって、全身の粘膜という粘膜に水疱やただれが起きます。重篤だと失明する場合も。  中毒性表皮壊死症はさらに重症で、全身的な灼熱感とチクチクした痛みをともなう発疹が突然起こり、数日で全身に拡大し、紅斑や水疱ができます。
死亡率は、皮膚粘膜眼症候群が6~10%、中毒性表皮壊死症が20~30%と報告されています。とくにアレルギー体質の方は注意が必要です。

Q:どんな薬で起こるのですか?

A:厚生省に報告された、97年4月~2000年3月までの副作用を分析した結果、6万9872件のうち882件(1.3%)がこれら2つの副作用でした。

表1 報告の多い推定原因医薬品(薬効分類別)
  抗生物質製剤
  通風治療剤
  解熱鎮痛消炎剤
  消化性潰瘍用剤
  抗てんかん剤
  催眠鎮静剤・抗不安剤
  総合感冒剤
  サルファ剤
  合成抗菌剤
  眼科用剤
表2 報告の多い推定原因医薬品(医薬品別)
  カルバマゼピン
  ジクロフェナクナトリウム
  ゾニサミド
  アロプリノール
  セフジニル
  サリチル酸アミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・
  メチレンジサリチル酸プロメタジン

  フェニトイン(含フェニトインナトリウム)
  塩酸セフカペンピボキシル
  フェノバルビタール
  セフテラムピボキシル 
ともに97年4月1日~2000年3月31日までの報告症例から

また、医薬品259成分に、この薬疹を起こす可能性があることがわかり、とくに多かったのが表1と2の医薬品です。市販の多くの複合感冒薬に、サリチル酸アミド、アセトアミノフェン、無水カフェイン、メチレンジサリチル酸プロメタジンなどが含まれています。

Q:副作用を予防するには、どうしたらいいですか。

A:誰に、どの医薬品で副作用が起こるのかはわかりません。報告では、服用してから4~13日のうちにもっとも多く起こっています。
薬を飲んでいて、高熱をともなう薬疹を認めたときは、飲むのをやめて、すぐに薬の説明書を持って皮膚科のある病院(入院が必要になることが多いので入院施 設がある医療機関が望ましい)を受診する必要があります。

いつでも元気 2001.4 No.114

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