くすりの話

1999年11月1日

くすりの話 33 不眠症と薬

Q:不眠症で悩んでいます。

A:不眠症は、いろいろな原因で眠れない状態が続き、そのため精神的に不安を生じ、日中にイライラしたり集中力がなくなったりする症状が現れます。現代社会では、ストレスを受ける機会が多く、不眠症になる人も多いようです。
不眠症にもいろいろな症状があり、寝つきが悪い(入眠障害)、ぐっすり眠れず夢ばかりみる(熟眠障害)、途中なんども目が覚める(中途覚醒)、早朝に目ざ めて以後眠れない(早期覚醒)、目覚めが悪い(覚醒障害)などがあります。
不眠症の治療は、不眠の原因を取り除くことが一番で、薬はあくまでも補助的な役割でしかありません。睡眠薬のほか抗不安薬や抗ヒスタミン剤なども使用されることがあります。

Q:睡眠薬にもいろいろ種類があるそうですが。

A:睡眠薬には、バルビツール酸系・尿素系・クロラール系などがありますが、現在はベンゾジアゼピン系の薬剤が主流です。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、睡眠効果も安全性も高い薬です。作用時間によって短時間型・中間型・長時間型にわけられ、睡眠障害の症状にあわせて用います。
たとえば寝つきの悪い入眠障害には、短時間型の薬剤(ハルシオンなど)が使用され、熟眠障害には中間型(ベンザリン、ネルボン、ユーロジンなど)ないし長 時下型(ソメリン)などが使用されます。医師は、それぞれの人に合わせて処方しますので、薬を他人にあげたりもらったりはしないでください。

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Q:睡眠薬を服用中に注意することはありますか。

A:以前多く使われていたバルビツール酸系は、脳全体に作用します。したがって、長期に服用していると耐性(いままでの量では効き目がなくなり服用量が増えて いく)や依存性が生じ、慢性中毒症状として食欲不振・悪心・めまい・発疹・思考力の減退・記憶障害などを起こします。また大量の薬を飲むと致命的な急性中 毒(呼吸麻痺)を起こします。
ベンゾジアゼピン系は、大脳の一部に作用して睡眠をさまたげる刺激を取り除き効果を現しますので、耐性や依存性が少なく、致命的な急性症状もありません。 最近使用される睡眠薬は、ほとんどがベンゾジアゼピン系の薬です。しかし、「持ち越し効果」といわれる翌日の眠気・ふらつき・めまい・脱力感などがあり、 とくに高齢者は転倒による骨折や記憶障害、異常行動などに注意が必要です。
また睡眠薬服用中はアルコールは飲まないようにしましょう。薬の作用が増強されるばかりでなく、薬によっては健忘症が現れやすくなります。
ずっと服用している睡眠薬を急にやめると、かえって不眠症状が悪化することがありますので注意してください。
以前薬害で問題となったサリドマイドも睡眠薬として使用されていました。睡眠薬の安易な使用・濫用には注意しましょう。

いつでも元気 1999.11 No.97

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