くすりの話

1999年9月1日

くすりの話 32 薬と歯科の関係

Q:入れ歯が合わなくなってきました。市販の入れ歯安定剤を使おうかと思いますが。

A:入れ歯の安定が悪くなる理由は、あごがやせてくる、入れ歯がすり減ってかみ合わせが悪くなるなど、さまざまな理由があります。市販の入れ歯安定剤を使え ば、一時的に安定しますが、かみ合わせの悪くなった原因が解決するわけではありません。かみ合わせの悪くなった入れ歯を長期間使用することは、ますますか み合わせを狂わせ、治療に長時間かかってしまうことになります。
入れ歯が合わなくなってきたなと感じたら、歯科に受診しましょう。

Q:入れ歯洗浄剤の使用はどうでしょう?

A:入れ歯は自分の歯よりも雑菌が繁殖しやすいので、つねに清潔に保つ必要が あります。そのためには、入れ歯専用のブラシで食べかすをとりましょう。ブ ラシでは取りきれない雑菌を除くには、入れ歯洗浄剤の使用をおすすめします。 口内炎や口臭を予防し、入れ歯の隣にある歯も悪影響から守ります。
毎食後手入れができれば理想的ですが、最低でも1日1回はかならず手入れをしましょう。
ふだん使用している入れ歯は、調子のよしあしにかかわらず、少なくとも半年に一度は歯科を受診し、調子をみてもらいましょう。

Q:慢性疾患の患者で薬を服用しています。歯科にかかるとき、どんな注意が必要ですか?

A:心筋梗塞や脳梗塞などで処方される抗凝固剤のワーファリン、塩酸チクロピジン、バファリンなどの薬は出血傾向を強めます。抜歯など出血をともなう治療をするさいは、前もって主治医に相談してください。服用を一時中止することもあります。
これは歯科だけでなく、他の診療科で出血をともなう治療を受けるときも同じです。かならず抗凝固剤を服用していることを告げる必要があります。
そのほか、血圧や血糖値、あるいは心疾患や呼吸器疾患などをコントロールする薬を飲んでいる場合は、医師が患者さんの全身状態を把握したり、歯科治療が全 身に与える影響を推測する必要がありますので、事前に服用中の薬を伝えることが必要です。
また、歯科でも薬が出されることがあります。この場合、服用中の薬とだぶったり、テトラサイクリン系抗生剤と鉄剤のように作用を打ち消し合う薬を出してし まうこともあります。人によっては、特定の薬剤が過敏症で使えないこともあります。

Q:薬の副作用で歯に影響するものは?

A:ニフェジピンなどの降圧剤やヒダントイン系の抗てんかん剤などでは歯肉増殖症(歯肉が腫れる)、向精神薬などでの唾液分泌抑制(唾液が出ない)、胎生期や 乳幼児期のテトラサイクリンによる黄色歯(歯が黄色くなる)などが知られています。気になる症状が現れたら、医師や薬剤師に相談しましょう。

いつでも元気 1999.9 No.95

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