くすりの話

1999年7月1日

くすりの話 30 在宅の患者さんと薬

Q:薬剤師が在宅患者の薬をチェックしてくれると聞いたことがあります。どんなことをしてもらえるのですか。また、相談したいときどうすればいいのですか?

A:在宅療養では、薬による治療が大きな比重をしめることが多く、薬をきちんと服用することや、薬による事故がおきないようチェックすることが大切です。薬の面から在宅での療養生活を支えることは、薬剤師の大事な仕事です。
具体的には、薬剤師が薬を持って患者さんの家を訪問し、
1)患者さんや介護者に薬の飲み方や注意点、保管方法などを説明する。
2)薬をきちんと飲めているか、副作用がないかを確認する。
3)薬についての不安や疑問に適切なアドバイスをする。
4)主治医へ報告し、意見交換する、などです。
在宅患者さんで薬剤師の訪問を希望される場合、主治医の指示が必要です。主治医か、かかりつけ薬局の薬剤師に相談してみてください。

Q:在宅療養で気をつけたい薬について教えてください。

A:在宅療養だから飲んではいけない薬というのはとくにありませんが、在宅患者さんは高齢者が多いため、薬の飲み方に気を配ることが大切です。そこで、いくつか代表的なものを紹介します。

1)下剤
高齢者の便秘の多くは、腸の運動の低下からおこるものです。また、薬の副作用が便秘の原因になっていることもあります。  そのため下剤が処方されることも多いのですが、急に下剤の量をふやすと下痢をおこします。また、下剤と下痢止めを長い間くり返して飲むことは、大腸に大 きな負担をかけます。まずは食事と日常生活の改善を心がけましょう。薬を使用する場合、同じ薬を長く飲みつづけると、それが習慣になってしまいます。作用 の異なる下剤を組み合わせ、最小限の使用を心がけることも重要です。

2)前立腺肥大を悪化させる薬
高齢になると男性は、前立腺肥大という病気が増えてきます。総合感冒薬、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、一部の胃薬、酔い止め薬などの薬を飲むと、尿が 出にくくなることがあります。こうした薬は市販されており、気軽に手に入ります。前立腺肥大のある方はかならず相談してください。

3)痴呆によく似た副作用
内蔵機能が弱っている高齢者に、成人と同じ量の薬が与えられると、副作用が現れることがあります。抗不安薬を飲んだお年寄りが、錯覚や幻覚などの意識障害 (せん妄)をおこし不眠状態となり、眠れないからさらに睡眠導入剤を服用して、せん妄を悪化させるというケースもあります。
副作用として痴呆によく似た症状をおこすことが知られている薬には、抗不安薬、精神病薬、睡眠導入薬、潰瘍治療剤(胃酸の分泌を抑えるタイプの薬)、消化 器の運動を調節する薬、抗アレルギー薬、一部の降圧薬などがあります。

薬の服用中に気になる症状が出たときは、主治医か薬剤師に相談しましょう。

いつでも元気 1999.7 No.93

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ