くすりの話

1999年5月1日

くすりの話 28 バイアグラ発売とピル解禁

Q:話題のバイアグラが日本でも発売されたそうですが、どうやったら手に入るのですか?

A:バイアグラは男性の勃起不全治療剤として、98年にアメリカで発売され、それと同時に世界中で話題になりました。
日本でも個人輸入で売買され、安易な使用で副作用による死亡者が相次ぎました。事態を重くみた厚生省は、申請から6カ月という異例のスピードで、今年1月に医薬品としての発売を承認しています。
バイアグラは陰茎への血液を増加させ、勃起をおこしますが、勃起不全を根本から治療するものではありません。厚生省は「生活改善薬」とし、医療保険を適用 させませんでした。したがって、まったくの自己負担で医師の診察を受けて処方箋をもらい、薬局で買うことになります。
バイアグラは性交の1時間前に1錠飲みます(1日1錠まで)。服用の間隔は24時間以上です。  バイアグラはもともと、心臓の血管を広げる薬として開発されていました。したがって、心臓が悪く血管拡張剤(ニトログリセリンやニトロール、フランドル など亜硝酸剤)を飲んでいる方は、相互作用で急激な血圧降下をおこすため使用できません。
そのほか、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞をおこして6カ月以内の方や重度の肝機能障害、低血圧の方も使用できません。また、胃薬や抗生物質、血圧降下剤と併用 して飲んだ場合も血圧の急激な低下がおこることが報告されています。
バイアグラの発売後1年間で、副作用による死亡者が世界で130人(服用者5万人に1人の割合)に達しています。新薬ですので、予期せぬ副作用が現れる可 能性があります。興味半分に他人からもらったり、あげたりすることは絶対やめましょう。

Q:女性の避妊方法として、ピルが解禁されると聞きました。ピルについて教えて下さい。

A:ピルは女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンの混合剤で、排卵を抑える薬です。今年の秋から発売される見通しの低用量ピルは、これまで副作用が多かっ た高用量ピル(本来はホルモン治療のための薬で、ホルモンの含有量が多い)の避妊効果を保ちながら、ホルモン量を減らしたものです。世界で9000万人の 女性が飲んでいるといわれています。
日本で避妊目的で高用量ピルを服用している女性は20万人ともいわれ、副作用の少ない低用量ピルの発売は歓迎されるでしょう。
低用量ピルも「生活改善剤」であり、保険の適用はありません。薬代以外に医師の技術料、性感染症などの検査費用が自己負担になります。
ピル解禁で、やっと女性自身が避妊を選べる時代になったともいえますが、ホルモン剤ですので胃腸障害、血栓症、発がん性のリスクなどが少ないとはいえ、 まったくないとはいえません。「女性に負担がかかる避妊方法」ともいえます。妊娠に気づかずに服用すれば胎児に影響をおよぼし、また内分泌攪乱物質として の問題点も心配されます。
ピルを使用しても3~5%は避妊に失敗するともいわれています。ピルは定期的に服用する薬です。服用を希望する場合は、産婦人科の医師や薬剤師に相談してください。

いつでも元気 1999.5 No.91

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