くすりの話

1997年5月1日

くすりの話 5 ステロイド剤はこわい?

Q:湿疹がひどいときにステロイド剤の軟膏をもらいました。とてもよく効いたので、その後も残りを時々使っています。よくないっていう人もいますが、どうなんでしょうか。

A:ステロイド剤は、人間の体のなかの副腎皮質という器管から分泌されるステロイドホルモンを基礎にしてつくられた医療品です。
ステロイド剤の軟膏には、作用の弱いものから強いものまで何十種類もあり、湿疹が重症の場合には比較的強いものを、軽症の場合には弱いもの使います。
しかし顔や首、外陰部など皮膚の弱い部分には、湿疹が重症でも強力なステロイド剤は使いません。薬剤が吸収されやすく、皮膚が萎縮したり、薄くなったり、 赤みを帯びてきた、多毛になるなどの副作用が現れやすいためです。
よく効くからといって、自己判断で全身どこにでも同じステロイド剤を同じように塗ると、副作用がおこりやすくなります。皮膚科の医師は湿疹がよくなってく ると、弱いステロイド剤に切り替えるのが一般的です。塗り方も強くすり込まず、いったん手にとって薄くのばし、患部をなでるようにして、指示された回数 塗ってくさい。
ステロイド剤は、すばらしい効果をもっていると同時に、使い方を誤ると重い副作用を生じる可能性ももっています。飲み薬、吸入薬、軟膏いずれの場合でも、 ステロイド剤が処方され、副作用が心配であれば、医師や薬剤師に納得するまで発明してもらいましょう。治療の主人公は患者さんなのですから。

Q:喘息で治療を受けています。プレドニンという薬をもらいました。こわい薬だと友人にいわれたのですが、大丈夫ですか。

A:プレドニンもステロイド剤の一種です。強力な抗炎症作用、抗免疫症作用をもっているために、リウマチなどの膠原病、喘息、ネフローゼ、皮膚炎などで使われ ています。喘息の患者さんの場合、重症の発作時にステロイド剤の点滴などで発作を鎮め、その後数日間、再発作予防のためにプレドニンなどの飲み薬のステロ イド剤を使う場合があります。 お友だちがプレドニンを「こわい薬」といったのは、副作用としてムーンフェイス(月のように丸い顔)や胃潰瘍、高血圧、糖 尿病、骨粗鬆症などをひきおこすことがあるとどこかで聞いたためだと思います。  これらの副作用はステロイド剤を大量に、長期に使用した場合におこりやすくなりますが、短期間の使用では、こういった副作用の心配はほとんどありませ ん。
長期に使用す場合であっても、医師はこれらの副作用に十分に注意して、必要最小量の薬を処方していますので、医師の指示に従って服用してください。副作用 を恐れて、急に服用を中止すると、リバウンドといって症状の急激な悪化をひきおこすことがあるので注意が必要です。

いつでも元気 1997.5 No.67

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