くすりの話

1998年3月1日

くすりの話 14 もういやっ!花粉症

Q:毎年春先に花粉症で悩まされます。よい薬はないでしょうか。

A:花粉症は植物の花粉がアレルゲン(アレルギーの原因になる物質)となっておこるアレルギー疾患のひとつです。日本ではスギ花粉症が圧倒的多数を占め ています。最近では都市部での排気ガスによる大気汚染や建物のコンクリート化などの環境の変化、ストレスの多い生活などの影響もあり、花粉症の人は増える 傾向にあります。

治療は、次の三段階で行なうものが一般的です。
(1) 予防的治療を主体とする。
(2) 不快な症状を軽くするために対症療法を行なう。
(3) 長期的には減感作療法を行なう。

原因となる花粉を検査し(スギ以外にもヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリなどの花粉も原因になります)、花粉が飛びはじめる時期を調べて対策をとります。

予防的治療
抗アレルギー剤を前もって服用することでアレルギー反応をおこしにくくします。花粉が飛ぶ2週間くらい前から服用することが必要です。リザベン、ザジデンなどが代表的な薬です。
対症療法
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状を軽くするために抗ヒスタミン剤を服用します。タベジール、ポララミン、ゼスランなどが代表的な薬です。また、鼻水 や目の症状が強い場合は、点鼻薬や点眼薬を使います。これには抗アレルギー剤のインタール、ザジデン、局所ステロイド剤のナルデシン、ベコナーゼなどが もっともよく使われます。
減感作療法
「免疫療法」といって、アレルギーの原因となる花粉エキスを少量ずつ定期的に皮下注射して、刺激に体を慣れさせる療法です。うまくいけば、薬と縁を切るこ とができますが、治療に2年半以上の期間がかかるのが難点です。途中でやめてしまうと何にもなりません。
注:「局所」とは全身作用の少ないステロイド剤のこと。

Q:薬を服用するにあたって注意することは?

A:抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤は眠くなることがあります。また、まれに抗ヒスタミン剤で尿がでにくくなることがあります。抗アレルギー剤でも頻尿 や排尿痛などがおこることがあります。その場合は薬剤師に相談してください。薬を飲んでいるからと安心せず、自分でできる防衛対策も必要です。花粉をでき るだけ吸いこまない工夫をしましょう。

有効な対策としては
(1) 外出をひかえる
(2) 外出時にマスクやメガネをかける
(3) 外出から帰ったら目を洗い、うがいをする
(4) 家の窓を開けない
(5) 衣類や布団の花粉を払う

などです。花粉症の人は、主治医を決めておき、シーズン前にはかならず受診して予防的治療を行なうことが重要です。

いつでも元気 1998.3 No.77

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