健康・病気・薬

2016年5月3日

副作用モニター情報<457> 出血性大腸炎を起こす薬剤

 薬剤性の出血性大腸炎について調査しました。当モニターに報告された症例は19例で、レボフロキサシン内服の1例を除き、すべてペニシリン系抗生物質のアンピシリンやアモキシシリンを主成分とする製剤を内服していました。年齢層は生後4カ月から60代にまでわたり、小児や働き盛りの世代が中心でした。溶連菌感染症などの上気道炎や肺炎における投与で9例、ヘリコバクターピロリ除菌療法7例、尿路感染、産後が各1例でした。発現までの期間は3~9日で、おおむね5日前後でした。
 診断は、8例は内視鏡、1例はCTスキャン、2例は大腸の細胞診で行っていました。便培養は11例で実施。CDトキシンやベロ毒素も含めた検査の結果は、常在菌を除き、6例はKlebsiella oxytocaのみ検出、残り5例は病原性のある各種菌類と毒素についてすべて陰性でした。アモキシシリンの薬剤リンパ球幼若化試験で陽性1例、過去に出血性腸炎を起こしたことがあるのに、再投与されて発症したケースが2例がありました。
 なお、Klebsiella oxytocaが原因かどうかにかかわらず、少なくとも「アンピシリンやアモキシシリンが関与しなければ発症しない」ということだけは確かなようです。
 アモキシシリンは非常によく用いられる重要な薬です。ピロリ除菌療法で7例あったことが示しているとおり、青壮年層においても注意が必要な副作用といえます。除菌療法に関わる薬剤がワンシートにパッキングされた商品については、アモキシシリンが組み合わされていることを見逃さないようにしてください。
 出血性大腸炎の場合は、副作用被害救済制度でほぼ救済されていますので、遭遇した場合はその患者さんに申請を勧めてください。

(民医連新聞 第1619号 2016年5月2日)

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