くすりの話

1997年1月1日

くすりの話 赤ちゃんかできたら…

Q:かぜをひき、市販の薬を飲んだのですが、あとから妊娠していることがわかりました。赤ちゃんに影響がないか心配です。

A:母親が飲んだ薬が胎児にどのような影響を与えるかは、次の2点で判断します。
 (1)妊娠してどれくらいの時期に服用したか。
 (2)飲んだ薬が胎児に奇形をおこしたり、毒性をもつようなものでないか。

注意しなければいけないのは、妊娠2カ月目(最終月経28日~50日)の時期です。胎児にとっては重要な臓器がつくられるもっとも敏感な時期ですので、奇形をおこす可能性があります。この時期は薬の服用をさせなければなりません。
妊娠5カ月を過ぎての薬の服用は、胎児の発育や臓器の機能への影響が問題になります。
しかし、妊娠中に飲んで胎児に奇形や異常をひきおこすような危険な薬はそう多くはありません。危険性が高いおもな薬を下表に示しました。

胎児に奇形をおこす危険性の高い薬
 エチレチナート(チガソン)
 ビタミンA(10,000単位以上)
 ビタミンK
 卵胞ホルモン
 メチル水銀
 放射性ヨウ素製剤
 ワクチン類(風疹、おたふく、はしか、天然痘)

ビタミンK、大量のビタミンAの服用は要注意です。卵胞ホルモンやワクチン類も妊娠が判明しない時期に使用する可能性がある薬ですが、これらの薬のほとんどは医師の指示がなければ使用できません。
市販のかぜ薬なら、妊娠初期に飲んでも危険性はほとんどありません。
妊娠の可能性のある時期、そして妊娠後の薬の服用は医師に十分相談してください。

Q:子どもに母乳を飲ませていますが、薬との関係で注意することを教えてください。

A:母乳は乳児にとって最良の栄養源であり、免疫学的にも優れているだけでなく、スキンシップによって赤ちゃんの情緒が安定するなど、きわめて大切な面をもっ ています。薬との関係も母乳育児をもっとも大切にする立場で考えましょう。  お母さんがなんらかの理由で薬を飲まなければならないことは案外多いものです。その場合はぜひ、医師に相談してください。そして1.薬の服用が本当に必 要か、2.安全な薬か、3.薬を飲む時間や量を調節してリスクをさけることができるか、を考慮することが必要です。  市販されている薬は心配のないものがほとんどです。しかし、アスピリンや偏頭痛に使用する頭痛薬、テトラサイクリン系の抗生物質、精神神経系、抗てんか ん薬、副腎皮質ホルモン、甲状腺剤などは注意が必要です。  医師の指示で、これらの薬を飲まなければならない場合、授乳直後に薬を飲むなどの工夫で授乳をつづけられる場合があります。授乳中であることを医師や薬 剤師に伝え、赤ちゃんへの影響の少ない薬を選んでもらうことや、服用時間の調節などを相談してください。  またやむをえず薬を服用するために母乳を一時中止する場合にも、搾乳して母乳の分泌を維持する努力をしましょう。

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ