副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2000年7月11日

副作用モニター情報〈163〉 抗生剤の皮内テストの信頼性

ラセナゾリン注(セファゾリンナトリウム)によるアナフィラキシー症状の報告がされました。

【症例】51歳・女性
 腎盂炎のためラセナゾリン注の点滴開始。直後よりかゆみが出現。10分後には全身膨疹となったため点滴を中止。このとき、気道浮腫による嗄声も認められ る。ステロイド投与により改善したため帰宅。事前の皮内テストは陰性。
 臨床ではたびたび遭遇するケースですが、こういった場合の注意点はどこにあるのでしょう。
 まず、皮内テストによるアナフィラキシー反応の予測についてですが、皮内テストは皮膚に局在するIgE抗体検出試験です。つまりIgE抗体が関与しない 場合には意味がありません。またIgE抗体が関与するすべての場合について予測できるものでもありません。このことを踏まえながら慎重に対処することが求 められます。
 文献によれば、重症即時型ペニシリンアレルギーを起こした患者にその6カ月後にペニシリンGによる皮内テストを実施したところ、その陽性率は85%で あったが、その2年後に再び皮内反応を実施したところ、陽性率は20%まで減少していたという報告もあります。このことからもわかるように、必ずしもアレ ルギー素因のあるものすべてには反応していないということです。
 大事なことは、皮内反応はあくまで目安であり、テスト陰性であっても初回投与時は突然の反応に十分対処できる観察下で実施されるということです。

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