くすりの話

2016年6月30日

くすりの話 191 スティーブンス・ジョンソン症候群とは

Q:「スティーブンス・ジョンソン症候群」とは、どういう病気ですか?

イラストA:スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は薬疹の一種で、発見した医師の名前から名付けられました。薬疹とは、薬を飲んだり注射したりすることで生じる発疹で、薬の副作用の一種です。SJSは薬疹のなかでも特に症状が重いものです。
 一般の薬疹とは異なり、突然38度以上の発熱とともに、全身の皮膚や目、口の粘膜に発疹・発赤、やけどのような水ぶくれなどの激しい症状が、短期間で現れます。口内や食道の炎症によって食事が摂りにくくなる場合や、鼻粘膜、咽頭や気道の障害により呼吸困難に陥る場合があります。
 発症するしくみについては、詳しくわかっていません。薬を服用してから2週間程度で発症することが多いようですが、発生頻度は非常にまれで、人口100万人当たり年間1?6人と言われています。しかし、一度発症すると非常に重篤であることから、対策が必要です。

Q:「市販の風邪薬を飲むと発症する」と聞きましたが?

A:抗生物質や解熱消炎鎮痛薬など、さまざまな薬がSJSの原因となることが知られています。市販の総合感冒薬(かぜ薬)でも発症することがあります。市販薬の添付文書には、SJSへの注意が必ず書かれています。
 医薬品医療機器総合機構の「医薬品副作用被害救済制度」への救済申請件数をみると、昨年1年間で、SJSによる救済申請が69件。そのうち6件が市販の総合感冒薬によるものでした。

Q:どうすれば防げるのでしょうか?

A:SJSの発症を防ぐことはできませんが、早期発見により重症化を防ぐことはできます。特に市販薬では、ご自身が早期発見しなくてはなりません。そのため、以下の初期症状に注意してください。
 高熱、目の充血、めやに、まぶたの腫れ、口唇や陰部のただれ、排尿・排便時の痛み、のどの痛み、皮膚の広い範囲が赤くなるなどの症状が続いたり急に悪化する場合には、直ちに服用を中止して医師や薬剤師に連絡してください。
 特に目の症状が出た場合、全身症状が回復した後も、視力障害やドライアイなどの後遺症が残ることがあります。後遺症を防ぐには、早期の対応がポイントになります。
 薬を服用した後に発疹を経験された方は、多くいらっしゃると思います。医薬品は病気の治療や予防に有効ですが、体にとっては異物です。前述の症状に限らず、薬を服用した際に急な体調の変化がありましたら、服用を中止しすぐに医師や薬剤師に連絡をしてください。

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いつでも元気 2016.7 No.297

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