くすりの話

2003年7月1日

くすりの話 64 不眠症の人が飲んではいけない睡眠改善剤? パート1

Q:ドラッグストアで「睡眠改善剤」という薬が売られていますが?

A:睡眠改善剤として、日本ではじめて処方せんのいらない一般薬として売ることが認められた医薬品 (商品名「ドリエル」)です。成分は抗ヒスタミン剤の塩酸ジフェンヒドラミンで、アレルギーの症状を抑えるはたらきがあり、カゼ薬や鼻炎薬・かゆみどめに 使われています。また虫さされ・筋肉痛などで使う外用剤にもこの成分が含まれています。

Q:アレルギーを抑える薬がなぜ睡眠改善につかわれるのですか?

A:塩酸ジフェンヒドラミンの副作用に眠気をもよおす作用があり、これを「睡眠改善」に転用したものです。医師が処方する薬としては、塩酸ジフェンヒドラミンは不眠症状に使われません。この成分は、ほんらい不眠症に効く成分ではないからです。
 「ドリエル」の注意書きには「不眠症の診断を受けた人は服用できません」という記載があります。びっくりしますね。

Q:副作用および注意点は?

A:塩酸ジフェンヒドラミンは、眼圧をあげたり、胃腸・尿管を収縮させる副作用がありますので、高齢者や、緑内障・前立腺肥大の人には使えません。また、動悸も引きおこしますので、高血圧・心疾患のある人には注意が必要です。妊婦・小児ものんではいけません。
 また眠気を誘い頭がぼんやりしますから、自動車・機械の運転などをする場合は注意が必要です。

Q:併用してはいけない医薬品は?

A:現在ほかの薬を服用している場合は、主治医やかかりつけの薬剤師に必ず相談してください。とくに、現在睡眠薬を使っている場合は、自分の判断で服薬してはいけません。
 市販のカゼ薬や鼻炎薬などには塩酸ジフェンヒドラミンが含まれています。これらの薬を服用している場合は、重複してのまないように注意が必要です。
 また、アルコールとの併用はいけません。

Q:「ドリエル」はどんな人によいのでしょう?

A:使用できる人は、医薬品・アルコールを常用していない人で大人に限定されます。この場合でも、必 ず医師・薬剤師に相談してから購入することが大切です。ちょっと最近眠れないけど1回だけためすという程度にしか使えません。服薬できる条件のある人は極 めて限定されるといえます。
(次回は、なぜこの薬が販売され、話題なのかです)

いつでも元気 2003.7 No.141

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