副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2016年7月19日

副作用モニター情報〈462〉 セレコキシブの副作用と投与上の注意点

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のセレコキシブ(商品名:セレコックス)は、炎症反応にかかわるシクロオキシゲナーゼ2(COX2)を選択的に阻害して、解熱、鎮痛、抗炎症作用を示します。副作用は、心血管系疾患を持つ人に血栓塞栓の危険が増大することや、ショック、過敏症状、消化器症状、腎臓・肝臓障害、重い皮膚症状など様々です。
 一方で、従来のNSAIDsはCOX1も阻害する非選択的なものでした。主な副作用が消化管に出たため、セレコキシブはその副作用軽減を期待して開発されました。その点で他のNSAIDsよりセレコキシブは使いやすい印象があります。ところが実際の消化管の副作用発現率は従来のNSAIDsとの差はありません。
 当モニターにも、セレコキシブによる消化管穿孔や出血性胃腸炎などの重篤な副作用報告が入っています。
症例)70代女性。骨折後の痛みに200mg/日投与で落ち着いていたが、自己判断で疼痛時に頓服で増量していた。消化管出血により服用中止し回復。投与期間は不明。
 なお、最も多くみられた副作用は皮膚症状で、スティーブンス・ジョンソン症候群や多形浸出紅斑などの重篤なものもありました。
 2015年度第3四半期には、9件報告がありました(薬疹3件、発疹・湿疹・掻痒等2件、消化管出血、肝障害、CK上昇、胃部不快感・胸苦しさ等各1件)。報告は減っていません。年齢は50代2人、60代1人、70代4人、80代2人で、用量はいずれも200mg/日でした。副作用発現までの期間は、薬疹等の皮膚症状では2~20日、その他は4カ月以上~数年の発症でした。
 高齢になると多くのNSAIDsの排泄能力が低下します。特に酸化的代謝を受けるセレコキシブ等では、血漿濃度が上昇することや腎機能の低下を考慮し、用量・投与間隔は慎重に設定しましょう。添付文書にあるように「有効最小量を可能な限り短期間投与することに留め、長期にわたり漫然と投与しない」ことが重要です。

(民医連新聞 第1624号 2016年7月18日)

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