くすりの話

2003年9月1日

くすりの話 66 グレープフルーツと血圧の薬との飲みあわせ

Q:血圧の薬とグレープフルーツジュースは飲みあわせが悪いと聞きました。

A:飲みあわせる薬と薬、薬と飲食物との関係で、薬が効かなかったり、逆に効きすぎて、体に悪影響がでることがあります。これを「相互作用」といいます。のみ薬の多くは小腸から吸収され、肝臓に運ばれ分解・排泄されます。
 肝臓で薬を分解する代謝酵素は40種類以上が知られています。血圧を下げる薬のうち、「カルシウム(Ca)拮抗薬」という種類の薬は、「CYP3A4」 という酵素で分解され排泄されます。
 グレープフルーツジュースはこの酵素の力を弱めてCa拮抗薬の分解を遅くするため、薬が効きすぎて血圧が異常に下がってしまう危険性があります。
 酵素を弱める作用は、グレープフルーツジュースを飲んでから4時間までが最も強く現れ、だんだん弱くなりますが、24時間後もその作用は残っているとい われています。

Q:グレープフルーツのどんな成分がよくないのですか?

A:これまでグレープフルーツジュースに含まれる渋みの成分がCYP3A4という酵素を弱くすると考えられていましたが、最近ではグレープフルーツの果肉でも同じような相互作用がおこることがわかってきました。
 ところでCYP3A4という酵素は小腸粘膜にも存在し、その働きには個人差があることもわかってきました。Ca拮抗薬が小腸から吸収されるときにも分解 されてしまうため、飲んだ薬が体のなかで利用される度合は、人によっても、カルシウム拮抗薬の種類によっても、違ってくるというのです。
 グレープフルーツは、小腸粘膜上にある代謝酵素の作用を弱めるため、結果的にCa拮抗薬の吸収される量が通常より増えますから注意が必要です。

Q:Ca拮抗薬を飲んでいたら、グレープフルーツを食べたり、ジュースを飲んだりできないのでしょうか?

A:Ca拮抗薬を飲む前後4時間はグレープフルーツ(ジュース)を食べないことです。
 またCa拮抗薬にもいろいろな種類があり、グレープフルーツ(ジュース)の影響を受けやすい薬と、あまり神経質にならなくてもよい薬とがありますので、 自分の服用している薬についてはどうなのか、薬剤師におたずねください。

いつでも元気 2003.9 No.143

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