健康・病気・薬

2016年8月2日

副作用モニター情報〈463〉 肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス(R)NP)による蜂窩織炎

 肺炎球菌ワクチンのニューモバックスで、副反応が報告されています。
 「肺炎」は日本人の死因で第3位です(1位:悪性腫瘍、2位:心疾患)。厚労省発表のこのデータは全年齢が対象ですが、65歳以上に絞れば肺炎で亡くなる人は非常に多いのが現状です。
 普通に社会生活を営む中でかかる肺炎を市中肺炎といいます。その原因菌で最も多いのが肺炎球菌で、これに対するワクチンがニューモバックスRNP(23価肺炎球菌夾膜ポリサッカライドワクチン、以下ニューモバックス)です。2014年から65歳以上の高齢者に定期接種になりました。
 ニューモバックスによる副反応として報告されているのが、蜂窩織炎(ほうかしきえん)です。蜂窩織炎は、皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけて炎症を起こす化膿性の細菌感染症です。傷口などから入り込んだ細菌による感染が皮膚の深い部分にまで広がり、細胞の周りを広範囲に融解しながら細胞自体を壊死させます。「蜂窩」とはハチの巣のことで、顕微鏡で見ると見た目が似ているので、このような病名になりました。
症例1)70代、女性。ニューモバックス接種から約10日後、左肩の接種部位に発赤・熱感・腫脹あり。蜂窩織炎と診断され、入院。抗生剤で治療し、入院5日後には左肩の発赤・腫脹は治癒し、入院8日後に退院。
症例2)70代、女性。ニューモバックス接種の翌日、自宅で倒れているところを隣人が発見し救急搬送、入院となる。左腕の接種部位のみ硬結、発赤を認め、抗生剤投与開始。接種2日後、吐き気・疼痛・熱感・発赤が増強。接種3日後、接種部位に水泡が形成。接種5日後、発赤・熱感は広範になるが、痛みは軽減。接種8日後には症状改善傾向、接種15日後に軽快した。
 この2例の他に、注射部位腫脹・疼痛・熱感などの副反応も多数報告されています。接種後、注射部位の反応が激しいようであれば、受診するよう説明して下さい。

(民医連新聞 第1625号 2016年8月1日)

副作用モニター情報履歴一覧

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ