副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2016年10月4日

副作用モニター情報〈466〉 フェソテロジンフマル酸塩の副作用

 フェソテロジンフマル酸塩(商品名トビエース:以下フェソテロジン)は、頻尿を主訴とする過活動膀胱の治療剤です。酒石酸トルテロジン(商品名デトルシトール:以下トルテロジン)の改良型として、2013年に日本で発売されました。
 トルテロジンがそれ自身と代謝物(5-HMT)の両方が薬効を発揮するのに対し、フェソテロジンは吸収されるとすぐ5-HMTに変化し薬効を発揮します。
 臨床試験での有害事象の発生具合から、トルテロジンの用量は4mgまでに制限され、フェソテロジンの上限は8mgまでになりました。フェソテロジンは「トルテロジンよりも安全性が高い」との触れ込みで使用されるようになりましたが、当モニターに4例5件の副作用が報告されました。尿閉が3件、膀胱炎1件、口渇1件で、用量はいずれも4mgでした。
症例1)70代男性。頻尿でフェソテロジン4mg開始。投与2日目から4日間排尿なし。腹痛、吐き気あり救急搬入され、CTで尿閉と判断。抗コリン作用のあるスピリーバ、フェソテロジンを中止。中止2日目でも尿閉が継続し尿道カテーテル留置。その後、各種の排尿障害改善薬を投与するが効果はなく、カテーテル管理継続中。
症例2)50代女性。頻尿でフェソテロジン4mg服用。初回服用から数時間後にひどい口渇が発生。3日間服用して中止。中止翌日に回復した。
 フェソテロジンは体内で活性体(薬効を発揮)の5-HMTに変化した後、さらに代謝されて排泄されますが、代謝に必要な酵素の働きは個人差が大きいとされています。代謝されにくい人(酵素が働きにくい人)は、排泄に時間がかかるため、成分が体内に蓄積し副作用が出やすくなる恐れがあります。
 前立腺肥大では、しばしば頻尿を伴うため過活動膀胱治療剤が処方されます。しかし、抗コリン作用を持つ同剤は、尿閉を誘発するため慎重投与とされています。3件の尿閉のうち2件は前立腺肥大を合併していました。肝機能や腎機能が低下している人にも注意が必要です。
 フェソテロジンは8mgまで増量できますが、作用が強く出る人がいます。合併症や併用薬に注意しましょう。

(民医連新聞 第1629号 2016年10月3日)

副作用モニター情報履歴一覧

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ