副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2016年11月22日

副作用モニター情報〈469〉 胃腸薬メトクロプラミドによる中枢障害

  メトクロプラミド(先発品:プリンペラン)は、胃腸の働きを良くする薬で、成人、小児ともに広く用いられています。消化管運動の促進や、制吐作用があります。
 本剤による副作用は、2011年と14年に報告していますが、今回は改めて中枢障害の状況を報告します。
 過去5年間で当モニターに寄せられた本剤の副作用報告は23例。うち16例(内服14例、注射2例)で、ふるえ、口・足の不随意運動、身体硬直、歩行困難など錐体外路症状が中心でした。また過去に寄せられた副作用報告全87例のうち32例(約4割)が錐体外路症状でした。同じ薬効のドンペリドン(先発品:ナウゼリン)では、全32例の報告中、同症状は2例であることからみても、本剤での発現頻度は高いと言えるでしょう。
 年代別では、15歳未満が3例、不明1例をのぞき、全て65歳以上の高齢者で、90代も3例ありました。
 本剤は腎排泄型薬剤で、代謝機能が低下する高齢者については長期使用による非可逆的な遅発性ジスキネジアが懸念されます。投与量や投与間隔の配慮が必要です。
 小児は、過去5年で症例は3例。うち2例で、発熱・脱水がありながら1日内服量が30mgとされていたことが特徴です。プリンペランシロップの添付文書では小児の用量を「1日に0.5mg~0.7mg/kg(適宜増減)」としていますが、EMA(欧州医薬品局)は「急性の神経系への影響は子どもでリスクが大きい」と、日本の承認用量を下回る「1回0.1mg~0.15mg/kgを1日最大3回まで」にしています(2013年勧告)。参考にしましょう。

(民医連新聞 第1632号 2016年11月21日)

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