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2016年12月6日

副作用モニター情報〈470〉 SGLT-2阻害薬の副作用まとめ(第1報)

 糖尿病薬SGLT-2(ナトリウム・グルコース共輸送体-2)阻害薬に関して、厚生労働省が添付文書改訂を指示、重大な副作用として低血糖、腎盂腎炎および敗血症、脱水、ケトアシドーシスが追記されました。当モニターにもSGLT-2阻害薬のひとつ、トホグリフロジン(製品名:アプルウェイ)による腎盂腎炎が報告され、因果関係が否定できず警鐘事例として発信しました(2016年1月18日付)。日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」(2014年6月策定、同年8月改訂)に引き続き、死亡例が出たためです。
 本剤は、腎臓の近位尿細管でグルコースの再吸収を行います。尿糖を増やして血糖を下げるしくみです。腎機能が正常なら、服用で1日当たり約70gのグルコースが尿に出ることが分かっています。
 これまでに当モニターに寄せられた本剤の副作用報告は、イプラグリフロジン(製品名:スーグラ)で6例11件(湿疹・痒みなどの皮膚症状4例、膀胱炎、亀頭炎と尿路系感染症2例)、ダパグリフロジン(製品名:フォシーガ)で8例10件(低血糖1例、陰部カンジダ1例、陰部痒み2例、発疹1例、頻尿2例、膀胱炎1例)でした。直近ではさらに増え、イプラグリフロジンで吐き気、蕁麻疹、ダパグリフロジンは急性膀胱炎、陰部カンジダ、頻尿が、トホグリフロジンでは性器感染、肝機能異常、発疹、血圧低下、筋肉痛の報告がありました。
 製品によって差はありますが、SGLT-2阻害薬は腸で水分の吸収を担っているSGLT-1の阻害作用も併せ持つため、腸管の水分吸収が低下します。また、SGLT-2は腎臓以外の臓器にも分布しているので、グルコースの取り込みを行っている膵β細胞の活動に影響を与えることも考えられます。
 国内での発売は2014年でしたが、長期的な安全性は分かっておらず、今後も様々な副作用が現れる恐れがあります。重症化を防ぐ対処法も備え、見守りを強めましょう。

(民医連新聞 第1633号 2016年12月5日)

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