くすりの話

2005年1月1日

くすりの話 76 サプリメントは万能薬?

Q:「コエンザイムQ10」が評判になってますが。

A:コエンザイムQ10 は、サプリメント(栄養補助食品)として、疲労を回復し老化を防ぐ万能薬のようにテレビ番組などで紹介され、「テレビ、雑誌で話題騒然!」などと宣伝され て売り上げを伸ばしています。「肌が若返る」という売り言葉でQ10入りの化粧品まで発売されています。
 「コエンザイム」とは日本語で「補酵素」といい、体内でつくられるものでQ10もその一種です。細胞内でエネルギーを生みだすときに重要な役割をもち、 年をとるとつくられる量が減りますが、サプリメントや化粧品として体外から取り入れても効果があるかどうか、十分に調べられていません。
 もともとは心臓の機能を強める目的で医薬品として使われていましたが、効果が認められずいまではほとんど使われなくなったものです。
 現在のコエンザイムQ10ブームは、最近になってアメリカから輸入されたものです。この物質が、宣伝どおりの効果を発揮するかは、かなり怪しいものです。

Q:サプリメントとは?

A:本来は、食事で不足する栄養素を補うものでしたが、最近では「健康食品」全体がサプリメントを名乗るようになっています。
 「抗酸化作用がある」「免疫作用を強める」「体脂肪を減らす」などの効果が、試験管内や動物実験で認められても、効能としてうたうことはできません。 「体脂肪が気になる方へ」とはいえても「体脂肪を減らす」とは宣伝できないのです。
 そこが、厳密な基礎実験のあと人間に対する有効性を臨床試験で確認した医薬品と、サプリメントとの違いです。
 しかし、関連する本や雑誌、インターネット上で効果をにおわせたり、テレビ番組で、一見宣伝にはみえないような形での紹介も多いことから、消費者には評価が難しくなっています。

Q:どうしても宣伝文句に引きつけられます。

A:「忙しい生活で疲労がたまる」「食事内容が貧弱」「いつまでも若々しくありたい」…このようななやみを解決してくれる「魔法のクスリ」がほしいですね。コマーシャルを見ていると、サプリメントを利用すれば、この夢がかなえそうに思えてきます。
 しかし、いま売られているものには、成分がきちんと含まれているか怪しい商品や、効能が誇張されて宣伝されているものも少なくありません。
 健康によいことをするためには、売っている側の一方的な情報だけでなく、批判的な情報も入手して自衛することが必要です。身近な薬剤師にご相談ください。
 サプリメントは、健康を保つのに絶対必要なものではありません。嗜好品と同じように考え、試してみてもよいのですが、自分の懐具合を考えてムリがない範囲でつきあうことです。

いつでも元気 2005.1 No.159

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