くすりの話

2005年4月1日

くすりの話 78 ウコンが「肝臓によい」って本当?

Q:ウコンって二日酔いに効くんですか?

A:ウコンは「肝臓の機能を高める」と評判で、お酒をよく飲む人を対象に、粉末・錠剤・お茶などが次々と発売されています。
 ウコンは中国や沖縄などで、長い間民間薬として使われてきました。消化機能が弱った場合に効果があるとされています。肝臓を刺激し、消化液をたくさん出させる作用をもっています。
 体験談を聞くかぎり、胃のむかつきなど二日酔い症状を軽減する効果はありそうです。テレビ番組ではお酒を飲んだ翌日、体内のアルコール濃度を下げる効果 を実験で示しています。しかし、アルコールの分解作用の向上は、科学的な検証に耐える研究では認められていません。
 効果をあまり期待してはいけません。肝臓の健康な人が、飲み過ぎで痛めた消化機能の回復を早める程度だと思ってよいでしょう。

Q:ウコンとはどんなもの?

A:ショウガ科の草の根で、カレー粉の黄色い香辛料「ターメリック」として身近な食品です。
 花の咲く時期により「秋ウコン」「春ウコン」の2種類が有名です。中国では春ウコンを、沖縄では秋ウコンを薬用として用いてきました。
 秋ウコンは、「クルクミン」を多く含んでいます。クルクミンは、脂肪の消化をになう胆汁を肝臓から分泌させる作用をもっています。一方、春ウコンはクル クミンを含まず、健胃作用をもつ精油を多く含んでいます。
 ウコンを薬や食品として使う経験は、長い歴史をもっています。しかし、サプリメントとして脚光を浴びたのはここ10年以内のことです。
 「肌によい」「ダイエットによい」など肝臓以外への効能も宣伝されていますが、まだまだ研究途上です。消化機能が弱ったときに使うのは適切ですが、健康 状態を向上させようとして毎日用いるのは、根拠がありません。

Q:利用するときの注意は

A:ウコンは、食品として広く利用されてきた経過からみても毒性は低く、安全に利用できると考えられます。しかし、サプリメントとして製品化され、濃縮されたものを利用する場合、多くとりすぎないように注意してください。
 肝臓細胞を保護したり代謝酵素を増やすのではなく、刺激によって肝機能を高めるという作用のしくみからみて、肝硬変など肝臓の機能に余力がない人が利用 することは大変危険です。ウコンの利用による肝障害もたくさん報告されています。
 「肝臓によい」とあいまいな宣伝によって売られ、消費者に間違ったイメージと利用法を広めていることは大きな問題です。

いつでも元気 2005.4 No.162

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