くすりの話

2005年11月1日

くすりの話 82 更年期障害に効く漢方薬は?

 押し寄せるような不安感があり、動悸がしたり、不眠もあります。更年期障害によく効く漢方薬を教えてください。(47歳女性)

Q:更年期障害とは何でしょうか?

A:更年期障害は、ホルモ ン系のアンバランスと自律神経の失調が組み合わさって起こります。50歳前後の女性は閉経期を迎えホルモンの変調をきたし、心身の変化や異常を生じること があります。妊娠、出産という大役を担っている女性特有のものと考えられてきましたが、最近では男性にも更年期障害があることが知られてきました。
  これは自然な生理的変化で、病気ではありません。ほとんど症状がないまま更年期を過ごす人もいれば、医学的な治療が必要な人もいます。

Q:更年期障害の治療薬は?

A:現代医学では対症療法としてホルモン剤や精神安定剤を用いますが、副作用もあります。
  この方は具体的に「不安感、動悸、不眠」などを訴えていらっしゃいますので、選択する漢方薬としてはまず「柴胡竜骨牡蛎湯」が考えられますが、これは比較的体力のある人の場合です。
  漢方薬の処方を考える場合、症状だけでなく体質を診ることが大切です。同じ症状でも、体質によって異なった処方を選びます。体力がない人の場合は「動悸、 不眠、不安感」などを目標に「加味逍遙散」をよく使います。
  その他にも体質と具体的な症状によって更年期症状に使う漢方処方は柴胡桂枝湯や当帰芍薬散など、いろいろ考えられます。

Q:漢方薬は、医師の処方せんなしに直接調剤してもらえる薬局があるそうですが?

A:はい。漢方専門薬局な どに限られますが、医師の処方せんなしにせんじ薬を調剤できます。この場合、薬局製剤の許可証と漢方処方の製造承認書が必要です。医師の処方せんがないと 医療保険が適用されないため自費扱いになりますが、承認された漢方処方の範囲内で患者さんから相談を受けて、体質と症状にあった処方を選んで「薬局製剤」 として調剤することが認められています。
  歴史的に見ると明治時代以降、医療は西洋医学一辺倒となり、日本の伝統医学である漢方医学は社会的に日陰の存在になりました。
  しかし生薬学は薬剤師になるための必須科目とされ、漢方を学んだ医師がいない時代、漢方は「薬局漢方」により継承されました。漢方専門薬局が「薬局製剤」 の範囲で、漢方処方を医師の処方せんなしに調剤できるのはこの流れをくむものです。
  更年期障害の症状は人によって軽重さまざまです。ほとんどの場合、漢方で対応できますが、症状が軽くならないなど医学的な治療を要する場合は必ず医師に相談しましょう。

いつでも元気 2005.11 No.169

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