くすりの話

2006年4月1日

くすりの話 85 薬の飲み方、なぜ違う?

 大野あけぼの薬局は、6人の薬剤師で80人の在宅患者さんを訪問しています。患者さん宅に薬を届け、薬の飲み方・使い方や保管方法、副作用、他の薬や食べ 物との相性などを説明し、相談にものっています。介護用品の相談や販売もおこない、地域に根ざした薬局をめざしています。
  ある日、訪問から帰ってきた新人薬剤師がいいました。「患者さんが食後の薬と食直前の薬を一緒に飲んでいました。坐薬も使い方がわからないようでした」。薬の飲み方って案外、難しい?

Q:薬によって飲む時間が違うのはどうしてでしょうか。何回も飲むのは大変なので、まとめて飲んではいけないのでしょうか。

A:ふつう、薬は飲み忘れを防ぐために1日3回毎食後というように、食事の時間にあわせて飲むようになっています。また薬は胃や小腸から体に吸収されますが、食事の前と後では薬の吸収のしかたが異なり効き目にも違いがあるため、薬の特徴によって飲み方が変わります。
○食後…食事をした30分くらい後
 胃の中に食べ物が多くあるため、薬はゆっくり吸収されます。できるだけ薬が胃を刺激しないための飲み方でもあります。鎮痛薬のように胃が荒れやすいお薬は、必ず食後に飲んでください。
 30分後というのはあくまでも目安で、飲み忘れるようなら食後すぐに飲んでもかまいません。
○食前…食事をする30分くらい前
 胃の中は空の状態です。胃の粘膜を保護したり、食欲を増進させるタイプの胃薬や、食後だと効き目が出にくい薬などが食前になります。また漢方薬は吸収をよくするため、食前に飲みます。
○食直前…食事をする直前
 糖尿病治療薬のなかで、食後の血糖値の急激な上昇を抑える薬では、食後に飲むと効き目が悪いため、食事のすぐ前に飲みます。
○食間…食事をしてから2時間くらい後
 胃の中はだいぶ消化され、食前と同じくらいの状態になっています。胃の粘膜を保護するタイプの胃薬や、漢方薬は医師の指示により食間に飲むことがあります。ちなみに、食事中ではありません…。
 その他、薬の特徴や医師の指示によって飲み方が変わりますので、わからないときは医師や薬剤師に遠慮なくご相談ください。

Q:坐薬と飲み薬の違いは?

A:坐薬は肛門や膣に入れて、粘膜から吸収させる薬です。吸収が早く、胃腸が荒れることが少ない、食事の影響を受けにくいという特徴があります。ただし解熱鎮痛剤の坐薬は飲み薬ほどではありませんが胃腸への影響があるため、長期に使用する場合は注意が必要です。
 小児や高齢者で体調が悪く、飲み薬を上手に飲めない場合や、痔の治療のように直接作用させる場合に使われます。座って飲む薬ではありませんのでご注意を…。

いつでも元気 2006.4 No.174

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