くすりの話

2006年8月1日

くすりの話 89 教えて! 高血圧の薬

Q:高血圧の薬にはどんなものがありますか?

A:心臓は、血液を体中へ いきわたらせるポンプの働きをしています。心臓が血液を送り出そうと圧力をかけたときに、血管の壁にかかる力を血圧といいます。高血圧とは、血管の壁にか かる圧力が正常よりも高い状態のことで、脳卒中や動脈硬化などの原因となるため、血圧をコントロールすることが非常に重要です。現在、主に使われている高 血圧の薬はつぎのようなものです。
(1)カルシウム拮抗薬
 細胞レベルでのカルシウムの動きを抑えることで、血管をひろげて血圧を下げます。最もよく使われるタイプの一つです。ほてりや頭痛などが起こることがあります。
(2)アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
 アンジオテンシンIIという血圧を上げる物質を体の中でできにくくし、血管をひろげて血圧を下げます。腎臓や心臓の障害を防ぐはたらきもあります。副作用で、から咳が出ることがあります。
(3)アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
 アンジオテンシンIIの働きを抑えることで血圧を下げます。最も新しいタイプの薬で、ACE阻害薬と似た作用を持ちますが、から咳はほとんど出ません。最近よく使われるようになりました。
(4)β(ベータ)遮断薬
 交感神経の働きを抑えることで心臓の機能を抑えて血圧を下げます。心臓の弱い方、ぜんそくの人などは注意が必要です。ただし少量を心不全の治療に使うこ ともあります。狭心症や不整脈の治療にも使われます。
(5)α(アルファ)1遮断薬
 交感神経の働きを抑えますが心臓にはほとんど作用せず、末梢の血管をひろげることで血圧を下げます。前立腺肥大症の治療にも使われます。立ちくらみがおこることもあり注意が必要です。
(6)利尿薬
 尿量をふやして体内の水分とナトリウムを減らし、血圧を下げます。心不全の治療にもよく使われます。高血圧の薬としては古い部類ですが、血圧を下げる効果は他のものにひけをとりません。

Q:家族が高血圧です。家族の薬をもらって飲んではいけないのでしょうか?

A:高血圧の状態は人に よってさまざまです。また、前述の薬の特徴からもおわかりのように、合併症の有無なども考慮して上記の薬を使い分ける必要があります。そのため、人によっ て適した薬は違いますので、たとえ家族が自分と同じくらいの血圧だったとしても他人の薬を飲んではいけません。副作用があらわれたり、また合併症が悪化す ることがあります。

Q:薬を間引いて飲んではいけないのですか?

A:血圧が安定しているからといって薬の量を減らしたり、また服用をやめたりしてはいけません。薬を飲んでいることで安定した状態を保っているわけですから、薬が減ると状態が悪化する可能性があります。自己判断で用法を変えず、医師の指示に従って服用を続けましょう。

いつでも元気 2006.8 No.178

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