くすりの話

2006年11月1日

くすりの話 91 糖尿病の薬もいろいろ

Q:糖尿病の薬にはどんなものがありますか?

A:大きくわけて糖尿病の 薬には、飲み薬とインスリン注射の2種類があります。患者さんそれぞれの膵臓からのインスリン分泌の程度や、インスリンの効き具合などを考慮して、薬を使 い分けています。ここでは飲み薬について紹介します。それぞれの薬によって注意点が異なるので、薬について医師・薬剤師からよく説明を受けましょう。
(1)スルニホル尿素(SU)剤
 膵臓のβ細胞を刺激して、インスリン分泌を促進することによって血糖を下げます。異常な空腹感・脱力感・動悸などの低血糖症状が出ることがあり、注意が必要です。
(2)グリニド系薬
 SU剤と同じ働きですが、SU剤よりも早く効果が現れ作用時間が短いのが特徴で、食後の血糖上昇を抑える働きがあります。α-GI薬と同様に、食事の直前に飲む必要があります。
(3)ビグアナイド(BG)剤
 肝臓での糖の生成を抑えたり、筋肉や脂肪組織などで糖が消費されるのを促進することにより、血糖を下げます。まれに乳酸アシドーシス(体内に乳酸が蓄積 し、血液が酸性に傾いた状態)を起こすことがあります。吐き気・倦怠感・下痢などの初期症状に注意が必要です。大量に飲酒したときや体調不良で食事が十分 にとれないときに起こりやすくなります。またヨード系造影剤を使用する検査のときは薬の内服を休む必要があります。
(4)α-グルコシダーゼ阻害(α-GI)薬
 小腸からの糖質の消化吸収を抑えることで、食後の血糖上昇を抑えます。食事と混ざり合って効果を発揮するため、食事の直前に飲む必要があります。おなか が張ったり、おならがよく出るなどの腹部症状が出ることがありますが、薬を少量から始め、徐々に増やすことで軽減できるといわれています。
 また砂糖の消化吸収も遅らせてしまうため、低血糖の症状が出たときは、ブドウ糖をとる必要があります。ブドウ糖は薬局で無料でお渡ししています。
(5)チアゾリジン誘導体
 BG剤とは異なる仕組みですが、BG剤と同様に、肝臓での糖の生成を抑えたり筋肉・脂肪組織などでの糖の利用を促進したりすることにより、血糖を下げる働きがあります。
 注意の必要な副作用として浮腫があり、とくに女性に多いといわれています。初期症状として、手足のむくみ・急激な体重増加・息苦しさなどの症状に注意が必要です。

Q:薬を飲んでいるのに、食事・運動療法も続けるようにといわれますが…

A:糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法です。これで十分に血糖が下がらないときに補助的に薬物療法をおこなうのです。つまり糖尿病治療は食事・運動・ストレス・薬など、生活全般を改善してとりくむべきものですから、薬を飲んでいれば大丈夫ということはありません。
 このコーナーでは読者のみなさんから寄せられた薬の質問に、薬剤師がお答えしていきます。日ごろ、感じている疑問を編集部までお寄せください。

いつでも元気 2006.11 No.181

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