くすりの話

2006年12月1日

くすりの話 92 鎮痛剤の乱用はよくない?

Q:鎮痛剤の種類にはどんなものがありますか?

A:痛み止めには、いろいろな種類があります。痛みの強さや原因、体の状態にあわせて、使い分けることが大切です。
 鎮痛剤には、効果の強弱があります。また、鎮痛作用と解熱作用を合わせ持っているものもあります。現在、主に使用されている鎮痛剤には、次のものがあります。

(1)非ステロイド性消炎鎮痛剤
 頭痛、ひざや腰の痛み、歯痛や生理痛など、幅広い痛みに使われる鎮痛剤です。アスピリン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェン ナトリウム、メフェナム酸、塩酸チアラミドなどがあります。
 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)は、体内で炎症や発熱をおこすプロスタグランジン(PG)を合成する酵素である、シクロオキシゲナーゼ (COX)の働きを抑えます。COXの働きが抑えられるとPGが減少して、鎮痛効果を発揮するというわけです。
 鎮痛剤と一緒に胃薬が処方されることがあります。これはNSAIDが、粘膜を保護する働きも持っているPGを減らしてしまうために胃の粘膜が荒れるから です。ひどい場合は潰瘍を引き起こす場合もあります。
 このような副作用を減らす目的で、いったん消化・吸収された後に作用を発揮するタイプも出ています。またCOXには、PGを合成するCOX-1と、外傷 や炎症が起こると急激に増えるCOX-2の2種類があります。このCOX-2の働きのみを抑えることで、消化器をなるべく傷つけないようにしたタイプも出 ています。
(2)オピオイド鎮痛剤
 がん性疼痛(うずく痛み)の治療に使われます。リン酸コデイン、塩酸モルヒネ製剤、フェンタニール製剤、オキシコドン製剤があります。
 主な副作用として吐き気、便秘、眠気があらわれることがあります。これらの副作用を抑える薬と併用して使う場合があります。

Q:鎮痛剤の乱用はよくないと聞きましたが?

A:鎮痛剤の作用からみて、同じ鎮痛剤との併用は副作用を増強させます。例えば腎障害や潰瘍を悪化させたり、出血しやすくなったりする場合があります。
 また、薬の相互作用によって鎮痛剤の効果が十分に発揮できなくなることもあります。
 鎮痛剤の中には精神の鎮静作用を持つものもあり、習慣化して止められなくなる(依存症になる)人もいます。とくにリウマチや腰痛、関節炎などの慢性疾患で鎮痛剤を使う場合は、かかりつけの医師に必ず相談してください。

Q:「アルコールと一緒に飲むとよくない」って本当ですか?

A:鎮痛剤をアルコールで飲むと胃腸障害、めまい、ふらつき、強度の眠気(自分の意思で起きられなくなる)などを起こすことがあります。薬はコップ一杯の水か白湯で飲むようにしましょう。

いつでも元気 2006.12 No.182

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