くすりの話

2007年2月1日

くすりの話 94 副作用と薬害、どう違う?

Q:副作用というのは何ですか?

A:薬の作用の中で治療に必要な作用を主作用、それ以外の作用を副作用といいます。薬は通常の用法・用量でも、避けることのできない副作用をあわせもっています。薬の有効性は、主作用と副作用のバランスにおいて考えます。
 代表的なものでは、かぜ薬による眠気や、痛み止めによる胃腸障害なども副作用です。副作用は、ときにはとり返しのつかない健康被害をもたらしたり、生命にかかわることもあります。

Q:薬害とはどういうことをいうのでしょう?

A:薬害の定義は決まっていませんが、「医薬品の有害性に関する情報を、加害者側が(故意にせよ過失にせよ)軽視・無視した結果、社会的に引き起こされる人災的な健康被害」(片平洌彦氏)という考え方が一般的です。
 医薬品の有害な作用を無視・軽視した薬の不適切な使用の結果、多くの人が重大な健康被害を受け、社会問題化した場合という考えです。社会的要因が加わる有害な結果と考えられます。

Q:薬害を繰り返さないために必要なことは?

A:日本では、サリドマイド、スモン、薬害HIV感染、ヤコブ病など、多くの薬害が繰り返されてきました。
 1999年8月24日に厚生省(現厚生労働省)前庭に「薬害根絶誓いの碑」が建てられました。「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染の ような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」と記してあり ます。しかし、残念ながら現在も薬害C型肝炎やイレッサをめぐる裁判がおこなわれています。一刻も早い被害者救済が求められているにもかかわらず、国や製 薬企業は自らの非を認めず、被害者を苦しめ続けています。
 薬害の原因は多岐にわたりますが、薬害多発の社会的要因として、(1)国の薬事行政の矛盾(大企業追随、安全性軽視、天下りなど製薬企業との癒着)、 (2)安全性を軽視・無視した製薬企業の利益追求、大量生産・大量消費政策、(3)医療従事者の認識不足(副作用情報の活用を怠るなど)があげられるで しょう。
 薬害を繰り返さないためには、(a)上記(1)(2)のような社会構造の歪みを正す、(b)被害者救済と再発防止の体制を確立する、(c)薬物に偏った 医療のあり方を見直す、(d)医療機関における適切で安全な薬物療法の推進などが必要です。
 薬害は、薬事行政の矛盾や厚生労働省・製薬企業の姿勢、日本の医療の矛盾・問題点などが集約された形で発生し続けています。薬害は“遠い世界”の問題で はありません。いつあなたが被害者になってもおかしくないのです。薬害問題について知ること、関心を持ち続けることが必要です。

いつでも元気 2007.2 No.184

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ