くすりの話

2007年3月1日

くすりの話 95 何種類も薬もらって大丈夫?

Q:いくつも薬を飲んで体に悪くないですか?

A:慢性的な病気で通院し ていると、何種類も薬を処方されるという人も多いと思います。処方する医師も調剤する薬剤師も、薬の相性(相互作用)や患者の体調の変化をチェックしなが ら薬を出しています。「何種類も飲んでいて何となく不安」だと感じても、自分の判断で勝手に薬を中止せず、医師・薬剤師に必ず相談してください。
 また、治療中の病気が複数あり、多数の医師や科にかかっている場合は注意が必要です。必ずそれぞれの医師・薬剤師に他でもらっている薬をすべて伝えましょう。

Q:相性の悪い薬というのはあるのですか?

A:あります。服用している薬の効果が強くなったり、副作用が出たりすることがあります。逆に効果が弱まったり、失われる場合もあります。
 自分で買って飲んでいるかぜ薬や鎮痛剤などとの相性にも注意が必要です。さらに健康食品やサプリメント、ふだんとっている食品や嗜好品(酒、たばこ)とも相性が悪いことがあります。
 代表例をあげると、抗生剤(テトラサイクリン系)とカルシウム剤を併用すると抗生剤の吸収が悪くなり、効果がなくなります。この抗生剤は、牛乳などカル シウムの多い飲みものや食べものとの相性も悪いことになります。糖尿病の治療薬を飲んでいる人が、市販薬の鎮痛剤(アスピリン)を服用して低血糖を起こす こともあります。
 気持ちを落ち着かせるサプリメントとして販売されているセントジョーンスワートは、不整脈の薬や抗ウイルス剤などさまざまな薬の効果を弱めたり、なくしてしまいます。
 脳梗塞などで血液が固まらないようにする薬にワーファリンがありますが、納豆を食べると効果がなくなります。アルコールといっしょに睡眠剤を服用する と、効果が強く出過ぎてフラつくことがあり、危険です。

Q:患者がこころがけることは?

A:主治医、かかりつけ薬局をつくりましょう。複数の医療機関や科から出ている薬の名前と、服用量や飲んでいる期間を医師・薬剤師に正確に伝えましょう。医療機関・薬局で出されている薬の情報シート、お薬手帳などを利用してください。
 定期的にとっている食品や健康食品、飲んでいる市販薬やサプリメントも忘れずに商品名をメモして、医師・薬剤師に伝えましょう。
 新しい薬が処方されたり飲む量が変わったときに体に異常を感じたら、すぐに薬の服用をいったん中止して、医師・薬剤師に相談しましょう。
 薬の数が多くて飲みづらく服用が続けられないと感じていれば、医師と相談して薬の減量も検討してもらいましょう。
 多数の医薬品を一度に服用する場合、相互作用の影響を、患者一人ひとりについて医師・薬剤師が完全に予想することにはムリがあります。なるべく少ない種類の薬で治療をしていくことが理想なのです。

いつでも元気 2007.3 No.185

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