くすりの話

2007年4月1日

くすりの話 96 整腸剤ってどうして効くの?

Q:整腸剤にはどんなものがありますか?

A:整腸剤は生きた乳酸菌を錠剤または粉末にしたものです。乳酸菌のうち、ビフィズス菌、フェカリス菌、カゼイ菌などが多く使われています。
 フェカリス菌とカゼイ菌は主に小腸に、ビフィズス菌は大腸に住みついている細菌(常在菌)です。ほかに乳酸菌ではありませんが、大腸菌も常在菌です。現 在100種類余りの細菌が私たち人間の腸内に住んでいることが知られており、くさむら(叢)のように群れをなしていることから腸内細菌叢と呼ばれていま す。
 フェカリス菌とカゼイ菌は乳酸をつくり出し、ビフィズス菌は乳酸と酢酸をつくり出して、腸内を酸性に保っています。腸は酸性のときに動きが正常となり、ちょうどよい便がつくられます。
 また腸が酸性に保たれることは、腸のはたらきを邪魔する細菌(悪玉菌)の増殖を抑える効果があります。一部の細菌のみが異常増殖しないようにバランスを 保っているのです。そのため、乳酸菌は善玉菌と呼ばれています。
 何らかの原因で乳酸菌が減少した場合は悪玉菌が増えるため、便秘や下痢などが起きやすくなります。ここに整腸剤は働きかけます。整腸剤に含まれる乳酸菌 は胃液によりほとんど死滅しますが、これを餌として腸内に住んでいる乳酸菌が増えて悪玉菌が減少し、腸の動きも正常となっていくのです。

Q:「大腸が気になる方に」という宣伝で売られている市販薬もありますが…

A:この宣伝から受け取る 内容は、人それぞれ異なると思いますが、「がんが予防できるのではないか」と思う人もいるようです。実際にそういう質問をされることがあります。確かにあ る種の乳酸菌を大量に動物に与えたところ、免疫力が高まったという報告はあります。乳酸菌を積極的にとることで、がんが予防できるかもしれないと期待され ていますが、現段階で効果が確かめられているわけではありません。
 「いつまでも健康でいられる」ことを考えることは大切なことです。そのためには薬の服用を考える前に、まずはバランスのよい食事をし、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。

Q:服用上の注意点は?

A:数日間服用しても症状が改善されないときは、腸内細菌叢のバランスの乱れ以外の原因が考えられます。必ず医療機関を受診しましょう。
 また、乳酸菌以外に炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが配合されている整腸剤もあり、甲状腺や腎臓の機能が低下している場合は服用できないこともあ りますので、注意が必要です。市販の整腸剤を購入する場合も、必ず薬剤師に相談してください。

いつでも元気 2007.4 No.186

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