くすりの話

2008年8月1日

くすりの話 108 薬を溶かして飲む方法も…

Q:薬を飲むのが苦手なのですが…

A:錠剤やカプセル剤をそのままお湯に入れ、溶かして飲む「簡易懸濁法」という方法があります。今までのように、つぶしたり砕いたりして、粉末状にする必要はありません。最近、病院や薬局でも採用されている新しい服用方法です。
 鼻から胃、腸に栄養チューブを通して薬を注入している人にも利用できますが、粉薬を飲むときにむせてしまう場合や、錠剤やカプセル剤のままでは薬が飲み込めない人にも有効です。

Q:どんなメリットがありますか?

A:従来の方法は、「つぶ し」調剤といって、薬局で錠剤やカプセル剤を粉砕して、粉末状にしていました。光や温度、湿度が原因で、時間がたつと変色したり、湿気ることもあり、効果 や安定性に問題が起こる薬もありました。しかし「簡易懸濁法」では、溶かす直前まで錠剤やカプセル剤のままなので、粉末状にして保管した場合と比べ、光や 温度・湿度の影響を受けにくく、薬を何種類も混ぜることで薬が変色したり、薬の効きめに影響することは少なくなります。
 また、服用する直前に何の薬を飲むのか確認ができ、誤って別のものを飲むおそれを回避できます。
 この新しい方法は、調剤する薬剤師にとっても大きな利点があります。
 薬を粉末状にするという手間などが省け、調剤時間が短縮できます。薬が、粉砕する器具や分包紙などにくっついてしまい、必要な量をうまく測れないといったこともなくなります。
 また、副作用や病気の悪化などで、急に薬の内容を一部変更・中止しなければならない場合にも、最初から作り直すといった経済的ムダを減らすことができま す。「つぶし調剤」では、薬剤師が薬に触れたり吸い込んだりして、健康被害をおこすこともあったので、この方法は合理的で画期的な方法なのです。

Q:うまく薬を溶かせますか?

A:薬を溶かすときは、熱湯ではなく55℃の温湯を使います(ポットのお湯と水を2対1の割合で混ぜると、家庭でも簡単に55℃の温湯を用意できます)。次に、カップに薬と55℃の温湯20mlを入れ、そのまま10分放置して溶けた薬を服用します。
 溶けにくい場合には、薬の表面を軽くたたいて傷を入れると、溶けやすくなります。
 ほとんどの薬で、「簡易懸濁法」を用いることができますが、すべてではありません。体内に入ってから時間をかけて、徐々に溶けて効果を発揮するように工 夫された薬は、もちろん「簡易懸濁法」は使えません。
 現在、薬を粉末状にして服用なさっている場合は、この「簡易懸濁法」ができるどうか、薬剤師にご相談ください。

いつでも元気 2008.8 No.202

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