くすりの話

2008年10月1日

くすりの話 109 4月から変わる大衆薬の販売制度って?

Q:医薬品の販売制度が変わるのですか?

A:はい。みなさんが医薬品を購入する際、いわゆるドラッグストアなどの量販店に行くことも多いと思います。量販店の場合も、法的には薬剤師はいなければなりませんが、実態としてはほとんどいない状況にあります。
 ある量販店では、会計の近くに「ただいま薬剤師不在のため医薬品の販売はできません」と堂々と看板を掲げながら、普通に医薬品を販売しています。このよ うな実態に対して厚生労働省は、医薬品販売における薬剤師の配置と役割を強めるどころか、逆にドラッグストア業界などの要望に応え、販売実態に法律を合わ せるようなかたちで薬事法を改正したのです。
 来年4月からは、薬剤師がいなくても新たに新設される「登録販売者」がいれば、ほとんどの一般用医薬品を販売できるようになります。
 重大な内容ですが、マスコミ等でもほとんど注目されていません。今回の動きも、小泉内閣(当時)の規制緩和路線のひとつとしてすすめられてきたと見るべきです。
 現在の薬種商制度では、医薬品を販売する免許は個人よりも店舗(薬店)に許可されるという性格が強かったのですが、これが廃止されて登録販売者制度にな れば、資格は個人に与えられることになります。そうなると、少なくない量販店では、大量に社員に資格を取らせ、薬剤師より安い人件費でさらなる店舗展開を することも可能になります。
 さらに問題なのは、この制度によってコンビニなどでも登録販売者が常時いれば24時間販売が可能になることです。一般用医薬品といえども、医療用と同一 成分のものも少なくありません。医薬品は、どのようなものでも健康被害などの危険性があります。今回の制度改正によって、医薬品がさらに安易に販売され、 そのことで新たな薬害や健康被害を生み出してはならないと考えます。実施後の動向については十分な注意が必要です。

Q:薬剤師がいる街の薬局と同じ薬が販売されるのですか?

A:今回の改正薬事法では、一般用医薬品は表のように3つに分類され、医薬品のリスクに応じた情報提供が義務づけられることになります。第一類は薬剤師がいないと扱えないことになります。
 現状では医薬品販売における情報提供について特段の定めがなかったため、ある意味で前進といえますが、薬剤師の立場からすれば、医療用でリスクが高いと 思われる成分も第二類に分類されているものがあるなど、分類の基準が不明瞭な点も少なくありません。
 制度がどう変わろうが、自らの安全を確保するためには、医薬品を購入する際には必ず薬剤師から用法・用量、副作用などの情報提供を必ず受けるようにしましょう。

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いつでも元気 2008.10 No.204

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