くすりの話

2009年1月1日

くすりの話 111 「タミフル」の使用、全年代で慎重に

Q:「タミフル」の10代への投与制限を厚労省が見直そうとしているようですが…

A:タミフルを飲んだあ と、高いところから飛び降りるなどの異常行動が多発し、問題になりましたね。そのあと、とくに異常行動が目立った10代について、厚労省は投与を制限する よう指導してきました。ところが2008年7月に開催された厚労省の検討会=「リン酸オセルタミビル(タミフルの成分名)」の臨床的調査検討のためのワー キンググループ=などの調査結果から、「タミフルによる中枢神経系への影響はない、異常行動の原因はインフルエンザだ」と判断し、10代への投与制限を解 除する見込みと、新聞報道されました。
 しかしこの研究結果については、多くの団体や専門家から疑問の声があがっています。タミフルを服用したグループと服用しなかったグループの間の「操作」 によって、中枢神経症状があたかも存在しないかのようにまとめられているからです。当然、私たち民医連は、10代への投与制限を撤廃しないように要請しています。

Q:民医連が、タミフル服用に投与制限などの注意が必要だと考える理由は?

A:私たち独自の副 作用モニター07年4月~08年6月の集計では、37件の精神神経症状(異常行動など)が報告されています。とくに多いのは12歳未満(モニター報告は個 人情報保護のため6歳~12歳として集計しているため)で20例が発生しています。12~19歳では1例となっており、10代への投与制限が効果をあげていると見ることができます。服薬のたびに異常行動を生じているケースも数例あります。
 私たちの副作用モニター調査では、異常行動を含む精神神経症状が、すべての年代で報告されています。そのため投与制限を10代だけでなく、全年代へひろ げるように、タミフルを製造販売している中外製薬へも要望しています。同時に、厚労省に集められているモニターの中にある「突然死」「低体温」なども添付 文書(くすりの説明書)へ記載し、医療従事者と患者への安全対策を充実させるように要請しています。

Q:タミフル使用時の注意点は何ですか?

A:民医連は、07年4月にタミフルによる犠牲者拡大を避ける「緊急提案」を出しています。
 (1)タミフルの使用を「インフルエンザ発症により生命等への危険性があり、乳幼児あるいは高齢・基礎疾患があるなどリスクが高い人で、患者・家族の理 解の上で安全性を確保できる場合」に限定すること。(2)希望患者へは、タミフルの危険性を徹底し確認すること。重篤な中枢神経症状によるさまざまな副作 用の可能性があり、症状が出た場合の安全確保を徹底すること。
 タミフルはインフルエンザの特効薬ではなく、あくまで高熱が出る期間を1日ほど短かくする効果がある薬です。一方インフルエンザは、普通の健康状態の人 なら十分な休養をとれば自然に治る病気です。タミフルの必要性については主治医とよく相談したうえで判断しましょう。

いつでも元気 2009.1 No.207

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ