くすりの話

2012年2月1日

くすりの話 142 ヒブワクチンについて

Q:ヒブワクチンってなんですか?

A:ヒブワクチン(商品名:アクトヒブ)とは「インフルエンザ菌b型」に対するワクチンです。冬に流行することの多いインフルエンザウイルスとは別のものです。
 この「インフルエンザ菌b型」は、のどや鼻に感染して風邪のような症状を起こすこともありますが、恐ろしいのは「細菌性髄膜炎」を起こすことです。年間 で乳幼児の500~600 人が脳や脊髄を保護する髄膜に炎症を起こし、そのうち約15%が難聴などの後遺症を残し、約3%は死に至るとされています。しかしヒブワクチンを接種すれ ば、このような重症感染をほぼ100%防ぐことができます。
 このワクチンは「不活化ワクチン」と言い、細菌やウイルスを殺して免疫に必要な免疫抗原物質を取り出し、毒性をなくしたものです。
 接種方法は月齢によって違います。生後2~7カ月未満の場合は約1カ月毎に3回と、1年後に4回目を接種します。7~12 カ月未満の場合は3回接種で、2回目までは約1ヵ月毎、3回目が1年後です。12 カ月~5歳は1回接種です。料金は自治体が補助するところもありますが、自費になると1回8000 円程度が必要となります。

Q:副作用はありますか?

A:局所反応(注射箇所の腫れなど)や不機嫌、胃腸症状(食欲不振や下痢)などが報告されています。
 2011 年3月2~9日の間に、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを含む、ワクチンの同時接種を受けた子どもが6人亡くなりました。そのため厚生労働省は緊急に両ワクチンの接種を中止させました。
 当時、一部の学者は「ワクチン接種後の死亡率は、SIDS(乳児突然死症候群)や、すべての突然死と比較して10 倍以上になる」と指摘しました。この指摘は死亡者が多数出た短い期間を対象にし、「死亡率が高かった」としているものです。
 一方、実際には1年以上も前からヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンを含む、他のワクチンの同時接種がおこなわれていました。厚労省はそのすべての期間を合 計すると、「突然死とワクチン接種との因果関係はない」とし、同年4月1日、ワクチン接種を再開させました。

Q:ほんとうに同時接種は安全なのですか?

genki244_05_01A:ヒブワクチンは世界中で同じ物が使われ、多くの乳幼児が重篤な病気にかかるのを防いできました。他のワクチンとの同時接種における安全性については、同時接種後に死亡した場合も、自然に死亡した場合と統計学的には同じ確率だと言えるでしょう。
 しかし、子どもがワクチン接種後間もなく死亡したら、ワクチンとの因果関係を疑うのは当然です。同時接種の安全性については医師と十分に相談し、不安があれば単独接種をおこなうことをおすすめします。

いつでも元気 2012.2 No.244

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