民医連新聞

2002年4月11日

小池晃参院議員(全日本民医連理事)の国会報告

世論の変化に確信をもって医療改悪法案を廃案に!

 4月2日、医療改悪法案や有事法制など、後半に突入する国会情勢について日本共産党の小池晃参議院議員(全日本民医連理事)に聞きました。

4野党が“廃案”で結束

 先日、2002年度予算が成立しました。そこにはすでに、今年10月からの高齢者の患者負担増(定額・上限制の廃止による一割定率負担の徹底)と、診療報酬大幅引き下げなどの内容が盛り込まれていますが、医療改悪法案の国会審議はこれからが本番です。
 すでに国会には健康保険法の「改正」案が提出されています。法案部分だけで366ページにのぼります。政府与党は、4月16日に審議入りしたいと言っています。
 一方、共産党をはじめ、民主、自由、社民の四野党は、この医療改悪法案を、「修正ではなく廃案」にすることで一致し、結束しています。国会の会期末が6 月19日。衆議院でも参議院でも、時間をかけて徹底的に審議をし、その中で問題点を一つひとつ明らかにし、廃案に追い込みたいと思っています。

国民に年間1兆円の負担増

 医療改悪案の内容は、すでに予算の審議の中でかなり明らかになっています。
 私が質問にたった3月26日の参議院予算委員会はNHKでも中継され、ご覧になった方も多いと思います。この中で改悪法案による国民の負担増が年間1兆 円になることが明らかになりました。窓口負担増での4300億円と政管健保などの保険料アップで5600億円、これで9900億円の負担増です。政管健保 が上がれば他の健保組合も保険料を上げるでしょうから、医療改悪による新たな国民の負担増は少なく見積もっても1兆円です。坂口大臣はさらに、負担増で通 院を控える受診抑制分の試算額も示し「5400億円の(国の)医療費が低下する」と発言しました。保険給付の面からみれば、先程の1兆円と合わせて年間1 兆5000億円の給付を削るわけです。これだけ消費が落ち込み、景気が深刻な状況のなかで「さらに無理やり景気の足をひっぱる」ような内容であることが明 らかになりました。私たち野党4党は、先行する他の法案の審議も徹底的に行い、5月の連休明けまで、医療改悪法案の審議入りをさせない構えです。

有事と医療、両面見据えて

 有事立法の危険な内容については、この間『しんぶん赤旗』や各団体のリーフレットで伝えられている通りです。与党は4月10日までに法案提出をする方針ですが、特別委員会をつくる動きもあり、国会での審議がどう動いていくかは、まだ分かりません。
 いずれにしても、4月の後半から5月にかけて、かたや有事立法、かたや医療改悪と「戦争で命を奪い、社会保障改悪で命を奪う」という二つの重要な問題で 国会論戦があります。全国各地の運動においても、有事法制と医療改悪の両方を見据えてすすめていく必要があります。

怒りの世論日ごとに大きく

 政治情勢をめぐってはこの間、非常に大きな変化がありす。
 鈴木宗男、加藤紘一議員らの問題をはじめ、金権腐敗、政官財の癒着、税金の私物化の問題などが噴出し、小泉内閣の支持率が急激に下がっています。
 今まではマスコミがつくり出したムードもあり「これだけ景気も暮らしも大変だから、ある程度痛みをともなう改革も必要だ」という世論もありました。しか し、この間の政治腐敗の事件を通じて、「小泉首相は自民党政治を変えると言っていたのに、全然変わってないじゃないか」と多くの国民が気づきはじめていま す。それは、ただ単に政治腐敗の問題に留まらず、今の自民党・公明党の政治全体に疑問を持ちはじめています。そのことで、私たちのたたかいの条件はずいぶ ん変化していると思います。
 つまり、政治腐敗の問題で怒った国民が「待てよ、これはおかいしぞ」と。小泉改革は政治腐敗にメスを入れるものではなく、国民の暮らしに対する攻撃その ものだということ。政府の経済対策にしても、社会保障政策にしても、「これでは景気も良くならないし、暮らしも滅茶苦茶になる」と気づきはじめている。そ の中でも、医療の改悪は、暮らしに対する直接的な攻撃ですから、国民に最も見えやすい問題です。
 先日の参院予算委員会でも、私はこの医療改悪の問題で「窓口の負担を増やすというやり方では何の改革にもならない」と小泉首相を追及しました。しかも、 「受診抑制などでかえって病気は重症化し、逆に医療費が増えてしまう。あるいは景気の足を引っ張る」と。小泉首相も最初は強気に答弁していたのですが、議 論しているうちに、まともに答弁できなくなってしまいました。小泉医療「改革」は、それほど矛盾をはらんだ改革です。それから、薬剤費の問題にメスが入っ てないことも指摘しました。また「早期発見、早期治療こそ、日本の医療にとって大事なんだ」ということは、首相も認めざるを得ませんでした。

情勢に確信もち運動広げよう

 「医療改悪をストップさせ、医療や社会保障をささえる国庫負担を増やす」ということは党派を超えた大多数の人が一致できる内容です。この内容を幅広く多くの国民に訴え、運動を広げていく必要があります。
 また、四野党が医療の問題で、しかも廃案で一致するというのは、私が国会議員になってからはもちろん、ここ近年なかったことです。今までは、共産党が孤 軍奮闘するという場面が多かったのですが、この野党の結束は、国会内でのたたかいで、以前にない条件の大きな変化です。
 2~3月には、民医連をはじめ、各団体が署名や宣伝、学習や集会、デモなど大きな運動を成功させてきました。四~五月もそれを上回る大きな運動を各地で成功させていきましょう。

(民医連新聞2002年04月11日 1273号)

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