事業所のある風景

2005年5月15日

岐阜/しずさと診療所 診療所を支える支部活動が 地域での健康づくりの推進力に

洗堰って覚えていませんか?

 大垣市は「水の都」といわれ、水とともに暮らしてきたまちです。しかし、水害にも長年にわたって苦しめられてきました。それぞれの村は、自分たちの村を 守るための輪中(わじゅう)とよばれる堤防で取り囲まれています。このような環境が様ざまな風土を形成してきたといえます。
 みなさん、「洗堰(あらいぜき)」という言葉を記憶されていませんか。
 2002年7月の台風6号による大水害は、この洗堰という「越流堤」の存在を全国に知らしめました。大垣市の西を流れる大谷川の右岸に設置された洗堰 は、増水した大谷川の水を越流させ、破堤を防ぐという機能をもっています。ところが、右岸に広がる地域には囲い堤もなく、しかも市街化区域に指定され住宅 が建ち並ぶという考えられない「人為的水害多発地帯」として、マスコミにも大きく取り上げられました。
 現在、この荒崎地域に住む人びとは水害訴訟をたたかっています。

苦難の船出から2年半

 さて、私たちは、2001年6月に西濃医療生協を創立し、しずさと診療所を翌年の10月に開設しました。デイサービス・居宅介護支援事業所を併設する診 療所です。開設場所は、洗堰から数km離れたところで、田んぼに囲まれ、その周辺に古くからの家々が建ち並んでいます。
 しずさと診療所のスタートは、言葉ではあらわせないくらい大変厳しいものでした。デイサービスは後発の事業所ではありましたが、順調に推移し、半年後に は施設基準いっぱいにまで定員数を増しました。しかし、肝心の診療所の患者数が、開設月の件数で126件、半年がたっても月282件という状況が続いたの です。診療所利用をどう増やしていくか、医療部会や近隣の県連・医療生協の方々から多くの指摘をいただき、学ばせていただきました。
 開設から2年半が経過した2005年3月は約600件の患者数になり、04年度は単年度黒字を見込める経営状況になってきました。まだまだ多くの課題が 残されていますが、この間の組合員の「診療所を支えんといかん」という強い気持ちと、支部活動の強化による地域での健康づくり運動の前進、それに応えてよ い医療・介護をめざそうとする職員の奮闘が重なり合っての成果であったと確信しています。

組合員・地域住民のより一層の信頼をめざし

 組合員活動では、第一に組合員を増すこと、次に支部活動です。運営委員会で経営状況を報告し、組合員利用を高めることを提起したり、健康チェックはもち ろん、柄澤所長や安田医師はじめ職員が講師活動に参加して健康講話を開催してきました。また、地域への訪問活動や診療所での月1回の健康講座を行うことも 欠かしませんでした。理事を中心に「送迎の会」を立ち上げたことも利用増に直結しました。
 医療活動では、診療時間前のエコー・内視鏡の早朝検査、慢患重視の方針の具体化、他院との連携をとっての第一線医療への特化、在宅医療でも市民病院との 24時間連携など、医療サービスの向上につとめてきました。また、組合員の受診につながるようなダイレクトメール、インフルエンザ予防接種を重点課題とし て組合員の利用結集を高めることなどを行っています。
 その成果として、04年度の新患数は少ない月でも30人を超え、平均月50人の方々が来院され、慢患件数も全体の4割まで増えてきました。
 まだまだ発展途上で、介護事業展開の課題もあります。組合員・地域住民にいっそう信頼される診療所をめざして頑張りたいと思います。
しずさと診療所 事務長 松岡 和彦)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2005年5月号.No.393より

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