事業所のある風景

2005年9月15日

京都/盛林診療所 医療を通じて地域を支えて半世紀

お金を出し合って診療所を作る

 1954年11月、京都の二条城近くで西陣地域にある盛林寺の一角に9床の有床診療所として健康協議会盛林(せいりん)診療所が開所しました。当時はま だ医療は皆保険ではなく、お金がなく医療にかかれない人も少なくありませんでした。そこで地域の人たちがお金を出し合って診療所を作り、1953年に京都 の診療所や病院で既に結成されていた京都民医連にも加盟しました。1956年には医療法人となり、1964年からは現在の社団法人京都保健会の診療所とな りました。
 開所当時から、地域の子ども、成人、高齢者や西陣で働く労働者の健康と医療を守る活動を続けてきました。

内藤医師を中心に様ざまな地域活動を展開

 開所まもなくして着任された内藤三樹郎医師はこの3年前まで所長として診療所医療を続けてきました。診療所には、患者やその家族を中心に「城北互助会」 が結成され、また老人会もいくつか地域に結成され、地域住民みずからの交流や健康管理などが進められ、診療所もこれを支援しました。1988年には「城北 豊かな老後をつくる会」が結成され、既に高齢化が着実に進行していた地域の人たち自ら豊かな老後を創り守る活動も始まりました。この会の活動の一環とし て、1990年当時としてはめずらしい高齢者デイサービス「ほのぼの荘」が開設され、ボランティアや診療所職員が支えてきました。

在宅医療に重視した現在の医療

 地域人口の減少、高齢化の中、利用される患者さんの減少などから診療所機能の縮小を強いられ、現在常勤医師1名、非常勤3名、看護師2名、事務2名と少 人数のスタッフで保健・医療活動を行っています。通常の外来診療のほかに、24時間体制の在宅医療、市民健診による健診活動、地域の方の自宅を借りての医 療懇談会、さらに互助会や老人会の活動の支援なども行っています。さらに昨年10月からは、より多角的な地域支援として10年余り自主的に続けてきたデイ サービスを介護保険の通所介護施設に衣替えし、これまでの経験を活かしボランティアに支えられながら3名の職員(うち2名は診療所兼務)で週2回、定員 10名のミニデイサービスを始めました。

高齢化が進む都会でのこれからの医療を模索

 診療所は、京都民医連のなかで上京病院を核とした保健・医療・介護ブロックに属していますが、地域には民医連以外の開業医も少なくなく、介護保険関係の 通所施設、入所施設も多く開設されています。また現在、横ばいの地域人口(2005年4月現在上京区で約8.3万人)、着実に進む高齢者数(同じく65歳 以上人口比25.2%)、増加する高齢者二人暮らしや独居高齢者や認知症高齢者など都会中心部の地域の変化に対し、小規模診療所として老朽化した施設の改 善、経営の健全化、より特徴のある診療所医療を展開すべく模索しているこの頃です。
盛林診療所 所長 三宅 貴夫)

「民医連院所のある風景」 『民医連医療』2005年9月号.No.397より

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