副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2008年7月7日

副作用モニター情報〈291〉 塩酸メトホルミン錠(血糖降下薬) 「高齢者」 への投与は禁忌

一般に高齢者では、腎・肝機能が低下しています。メトホルミンは腎機能が低下すると排泄が減少し、肝機能が低下すると乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスが起きやすくなるので、高齢者へは投与禁忌となっています。
 健常高齢者(65歳以上、CLcr(クレアチンニクリアランス)が60ml/分以上)では、健常成人(18歳~40歳、CLcrが90ml/分以上)に 比べ、メトホルミンのクリアランスが約40%減少するという報告があります。
 しかし、一概に「何歳以上は高齢者」と決めることは難しく、糖尿病による腎機能低下も加わるため、腎機能低下には個人差があります。塩酸メトホルミン錠 の処方に当たっては、常に腎・肝・呼吸器機能について確認したうえで、低用量から開始するなど注意が必要です。
 当副作用モニターに、塩酸メトホルミンの副作用報告は2007年の1年間だけでも33例が寄せられています。65歳以上は16症例で、約半数を占めてい ます(70代は6症例、80代は2症例)。このうち1例が750mg/日、8例が500mg/日の投与量でした。
 副作用は主に消化器症状で下痢、吐気、腹痛、腹部膨満感、便秘などが13例です。ほか乳酸値上昇1例、薬疹2例、だるさ1例でした。
 塩酸メトホルミン錠でよくみられる副作用は、当モニターへの報告と同様に消化器症状です。一過性で軽度なものが多く、減量や休薬でほとんどが回復しま す。しかし、これら消化器症状は、乳酸アシドーシスの初期症状(その他、倦怠感、筋肉痛、過呼吸など)としてもみられ、その区別は難しいとされています。 また、下痢、嘔吐による脱水症状から循環不全や組織低酸素状態が起きると、乳酸アシドーシスになりやすいので、これらの症状を、見逃さないように注意しま しょう。

(民医連新聞 第1431号 2008年7月7日)

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