民医連新聞

2002年6月1日

高校生115人が1日薬剤師体験

―「やりがいある仕事、私もなりたいな」の感想が―
立花典明(青森民医連事務局)

地域の「薬剤師不足」を解消し、「民医連にも入職を」と、高校の協力も得てとりくんだ「体験会」。青森からの報告です。

*    *    *    *

【体験会プログラム】弘前会場

13:30~受付
14:00~あいさつ・オリエンテーション
14:10~薬剤師から講話「医療における薬剤師の業務」
                「社会における薬剤師の役割」
15:00~健生病院薬局見学・薬品製剤室の見学
      弘前調剤センター見学・薬品製剤体験
16:10~薬学生からの説明
      「大学で何を学ぶのか(薬学教育)」
      薬剤師担当者からの説明
      「薬科大学学費と奨学金制度」
16:40~懇談、質疑応答、アンケート・感想文記入
17:00~終了後、個別相談に対応

参加動機

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 青森県民医連の薬剤師委員会では、3月23日から29日まで「高校生一日薬剤師体験会」を行いました。
 今回は初めて八戸も参加、青森・弘前と合わせ三地域で開催し、過去最高の115人の参加者を7回に分け、実施しました。
 青森県は院外処方せん発行率が高いにも関わらず、薬剤師数は対人口比で全国最下位です。薬学部進学率も低いうえ、県内に薬学部がなく、県外に進学した学生は卒業後はなかなか戻ってきません。
 そこで高校生に地元の薬剤師活動を知らせ、薬剤師をめざす進路決定や就職先の参考にしてもらおうと体験会を開始。弘前では七年前から、青森では4年前か ら行っています。この体験会に参加したことがきっかけで民医連の薬局に就職した薬剤師もいます。

高校に呼びかけて

 実施に向けては、高校を訪問し、学校長や進路担当教諭に面会、開催要項と参加申込書を届け参加集約をお願いして います。青森県連では「高校生の医師・看護師体験会」の実績があるため「薬剤師の体験会」も多くの高校で受け入れてくれます。「低学年から目的を明確に持 たないと大学進学は困難。こういう機会はありがたい」と、体験会に生徒とともに足を運ぶ熱心な先生もいます。
 企画内容等の検討と準備は会場ごとに薬剤師と事務職員が担当し、ニュースを発行して各会場のとりくみ状況を交流しました。薬剤師の講話の内容は「安全 性、有効性を監視する薬剤師の仕事をわかりやすく伝える」「参加申込書に書かれた質問に答える」「日常業務以外の社会的な仕事や役割を伝える」と決め、3 会場で行うプログラムを確認しました(表)。

薬学生も手伝って

 体験会当日は、県連の奨学生になっている薬学生にも手伝ってもらいました。
 薬剤師が民医連の薬剤活動を紹介、院内薬局、調剤薬局の現場をガイドしました。八戸では病院見学が提供できなかった代わりに、あらかじめ体験会用の処方 箋・カルテを用意。コンピュータ入力、調剤、模擬患者への服薬指導、途中の疑義照会まで疑似体験させました。
 また薬学生から大学や授業について話してもらい、事務職員は高額な学費の問題と日本育英会や県連などの奨学金制度を説明しました。
 今回参加申込書に事前に記入してもらった参加動機を見ると、「将来薬剤師をめざしている」高校生が半数を占めます(図参照)。

進路決定の動機づけに

 体験会終了後にも高校生からアンケート・感想文を書いてもらいました。感想文には「もっと勉強をがんばって薬剤 師をめざそうと思った」「実際に働いている薬剤師を見ることができてよかった」など、全体的に満足との意見が多くありました。また「薬剤師をめざす気持ち がさらに強くなった」との答えが半数。この体験会が進路決定に対する意欲につながり、職業を考える機会として成功したことがわかります。企画に携わった薬 剤師も「高校生を相手に教えるのは大変だった」ものの、「体験会を今後も継続したい」というのが一致した意見でした。
 四月下旬、再び各高校を訪問し「感想文集」をお世話になった進路担当教諭に届けました。先生方から「次回行う時も声をかけてほしい」「感想文集は図書館に置いて、進路の参考として活用します」との意見をもらいました。

早期の結びつきが

 私が薬学生と接して感じるのは、進路決定の時期が医師・看護師と比べて遅く、臨床実習の機会が少ないことです。

(民医連新聞2002年06月01日/1277号)

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