副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2006年8月21日

副作用モニター情報〈251〉 抗生剤による重大なアレルギー反応を予防するために

 抗生剤のアナフィラキシーショック対策に関して、添付文書が改訂されて2年が経過しました。十分な問診と開始後の観察、ショック対策が重要視され、皮内反応テストは廃止になりました。この間に副作用モニターに寄せられた、抗生剤によるショックおよびアナフィラキシー様症状の症例から再度、安全対策を考えてみました。04~05年度の2年間にこれに関して全部で7件のモニター報告がありました。
 中には問診で防ぐことができたと考えられる事例もありました。しかし、数回の使用歴があっても発現した事例もあります。初回から感作に必要な期間 (5~7日以上)をおいての2回目使用は、いっそう注意が必要です。内服の場合は、医療者のいない時間や場所で服用する機会が多いため、服用開始が1人の 時間帯にならないようタイミングも含めて、十分な説明をする必要があります。

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〔事例1〕クラビット錠(経口)
 眼瞼浮腫・呼吸困難。帰宅後に内服し、10分後に発現する。酸素吸入で改善する。4カ月前に近医で同薬を処方され服用後、眼瞼浮腫・咽頭浮腫症状あり。
〔事例2〕ミノマイシンCap(経口)
 顔面腫脹・息苦しさ。服用後に就寝。3時間後に症状に気づく、救急外来受診。2時間後に改善。ケニセフ点滴注射6時間後に服用した。
〔事例3〕クリレールCap(経口)
 アナフィラキシー。服用した1時間後に発現。救急外来受診し、処置を受け改善。1カ月前に処方されたものを服用した。
〔事例4〕バナン錠(経口)
 アナフィラキシー。内服した10分後に発現。入院治療を受け、翌日退院。7年前に他医にて処方されたロセフィンでショック歴があった。
〔事例5〕スルペラゾン注(点静)
 アナフィラキシー。30分かけて点滴静注。5~10分後に発現。2時間半後に回復。使用歴は不明。
〔事例6〕セファメジンα注(静注)
 ショック。静注の直後は異常なし。5分後、意識消失状態で発見される。昇圧剤、ステロイドにて20分後に回復。数回の使用歴があった。
〔事例7〕塩酸バンコマイシン注(点静)
 ショック。静注開始5分後、ショック状態になり挿管、ICU管理。翌日に回復。長期間、使用していなかったが2回目の使用だった。

(民医連新聞 第1386号 2006年8月21日)

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