民医連新聞

2002年6月1日

いのちと人権まもれ たたかう列島 障害者控除を要介護者にも

“要介護認定者にも障害者控除を”

国税庁に問い合わせ突破口開く―長岡市
地域老人会に運動広げる―帯広市

 介護保険の要介護認定者に所得税を軽減させる運動が各地でおこされています。 各市町村長の判断で「障害者控除対象者認定書」を発行し、障害者手帳を持たない要介護認定者も確定申告で「障害者控除・特別障害者控除」の対象とせよ、と いうもの。現行の「所得税法施行令」と厚生省社会局長通知(1970年)をもとにした質問に対し、国税庁は「要介護認定者が障害者控除の対象になりうる」 と認めました。しかしこの制度は介護保険とは直接連動していないため、適用には自治体への働きかけが欠かせません。すでに2000年、2001年の確定申 告は終了しましたが、5年間は修正申告可能です。自治体キャラバンの要求項目にもりこんで、運動を広げようとしている地域社保協もあります。
 全国的な突破口を開いた新潟県・長岡社保協、このニュースを受けて早速地元でも行動を起こした北海道・十勝社保協から経験を聞きました。

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【新潟県】長岡市では、今年2月、市内すべての要介護認定者1746人に「障害者控除対象者認定書」が郵送されました。これで「障害者控除(特別障害者控除)」を受け、9万円の税金が戻された、という世帯もでています。
 発端は地域からあがった「介護が必要な高齢者にも『障害者控除』を認めてほしい」の声でした。声を受けた日本共産党の調べで、「精神又は身体に障害のあ る年齢65歳以上の者」は、市町村長が認定すれば、障害者控除および特別障害者控除の対象(所得税法施行令第10条)と、されていることが判明。
 「この条項は要介護認定者にもあてはまるのではないか?」と、国税庁に問い合わせ、「障害者控除の対象にほぼ一致する、限りなく近い」と、適応を認める 答えをひきだしました。市町村が「障害者控除対象者認定書」を交付することで、「障害者控除」がされることも判明(下・30年前の厚生省社会局長通知)。
 そこで昨年12月、この回答を根拠に長岡市に働きかけ。要介護者や家族に「認定書」を速やかに交付するよう市長に求めました。またこのことは市議会でもとりあげられました。
 「要請どおりに認定書を確定申告時期に送付する」という回答が市の福祉保険部から出て、今回の認定書発行にこぎつけました。
 市社保協ではこれまでも医療や介護、国保問題などで市と何度も懇談を積み重ねており、その効果もあったかと思われます。
 なお、神田診療所では市の対応が決まる前から共同組織や患者に制度を知らせました。

(長岡市社保協・富樫由希夫事務局長)

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【北海道】十勝社保協では、新潟のニュースをきき、「帯広市でもとりくもう」と、緊急に運動を行い、三月一五日の確定申告には、すべり込みで障害者控除を申請することができました。道内初の成果です。
 また「要支援」の高齢者に関しても障害者控除を認める「認定書」を発行させることができました。
 当初、市の態度は「税務署の都合で障害者控除は不可能」「認定書は発行しない」でした。しかし、税務署が「認定書があれば、控除できます」と答えたた め、市会議員に要請し、議会で市の態度を確認。市は「(控除申請の)対象者がいれば、認定書は発行する」と認めるに至りました。
 社保協加盟団体に呼びかけ、七人が市に「認定書」を申請し、控除されることになりました。またこの「朗報」は、これまでも医療改悪反対の運動で結びつきが強まっている地域老人会212カ所にも送付、普及をはかっています。

(十勝社保協・山本鉄雄事務局長)

(民医連新聞2002年06月01日/1277号)

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