副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2006年10月2日

副作用モニター情報〈254〉 タミフルによる中枢神経系の副作用について~その1~

今回と次回に分けて、タミフルの副作用モニターのまとめを報告します。
 タミフルによる睡眠中の突然死、異常行動による事故死がマスコミに取り上げられ、問題になっています。先日も沖縄で、中学生がタミフル服用後に転落死した、との報道がありました。
 厚生労働省は、ホームページのQ&Aなどでタミフルとの因果関係は否定的としていますが、医薬ビジランスセンター代表の浜六郎氏は、「これらの事象はタ ミフルによる中枢抑制作用の発現に基づく副作用の疑いが強い」として、動物実験の結果や国内症例の疫学的調査にもとづいた考察を発表し、警鐘を鳴らしています。
 全日本民医連の副作用モニターには、2002年から2006年の第一四半期まで、タミフルを被疑薬とする副作用報告が92件よせられていました。このう ち精神神経系の副作用と考えられる症例が37件。ほかは発疹などの過敏症や口内炎、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が主なものでした。
 いずれも中止や服用終了後に回復し、死亡例やグレード3の症例はありませんでした。しかし、精神神経系の副作用と思われる37件の症例は重大事故につながりかねません。
 低体温の症例が13件報告されています。いずれも投与2~3日目に体温が33度台(1件)、34度台(9件)、35度台(3件)となった例で、4 歳~80代と年齢に関係なく報告されています。低体温の発現のしくみは明確ではありません。それ以外の症状もとくにないようですが、少なくとも低体温が体 温中枢への影響の結果であり、タミフルが中枢に移行することを示すもの、と浜氏は指摘します。
 つぎに、幻覚、妄想、幻聴、視覚異常、異常行動、興奮状態など、せん妄状態の症例が12件報告されています。年齢別では、13歳以下が6例、40代が1 例、60代と70代が各1例、80代が3例です。小児と高齢者が多い傾向がみられました。12例中9症例が投与1~2回目と投与初期に起きています。また 投与2日目の夜間や服用している期間、症状が持続した例も報告されています。
 熱性せん妄との区別が必要ですが、発現時の体温が39度以上の症例は2例、不明が7例、38度以下や解熱後にも症状の発現がみられた症例は4例ありました。

 次回は、代表的な副作用症例を紹介します。

(民医連新聞 第1389号 2006年10月2日)

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