民医連新聞

2002年9月11日

共同組織座談会/ もうすぐ秋の「強化月間」/たたかいで得た元気 つながりを生かそう

 共同組織 10~11月の「共同組織強化月間」を前に、3人の共同組織活動交流全国連絡会の委員の方がたに秋からのたたかいととりくみについて話し合っていただきました。(編集部)
参加者
 *鴻谷泰子さん(東京ほくと医療生協)
 *亀田良典さん(石川県健康友の会連絡会)
 *穴井重徳さん(大阪・耳原友の会)
 *司会・近藤良明理事(全日本民医連)

  地域の実状にさらに根ざして
司会…お集まりいただいたのは、全日本民医連がよびかけた、10、11月の「共同組織強化月間」を中 心にお話をいただこう、という目的です。全国共同組織連絡会(8月31~9月1日開催)でも、話し合いましたが、医療改悪を許さない秋のたたかいと結ん で、各地で月間にどうとりくむか、「安心して住み続けられるまちづくり」をどうすすめるか、さっそくですが、それぞれのご意見をうかがいたいと思います。
亀田…石川では8月31日に、共同組織と職員合同で学習会を開きました。「9月は地域に入って訪問活 動しよう」「まちづくりの核になる班を強くしよう」というのが今年の目標です。10月の改悪実施までをにらみ、地域の実状を調査、告発し、この結果を返 し、さらに運動を広げるシンポジウムもしたいと考えています。
 また、石川にも多重債務に苦しんでいる人が本当に多い地域があります。「『地域、地域』と、僕らはよく口にしているけれど、本当の地域を知っているのだろうか?」という話し合いもしました。
鴻谷…私たちのところでは、今年が5カ年の中期計画の初年度にあたります。病院のリニューアルをしながら、一般・療養の機能分けもすすめるのです。年間3000人の拡大と、2億円の出資金の目標の2点に絞ってやろう、と確認しています。
 節目も設けています。10月1日の生協デーにむけた「せーの週間」。9月末には300人の生協組合員・職員がいっせいに仲間増やしに出る行動、名付けて 「ほくと300」を計画。どうして300かというと、過去の経験から、行動した人の数と同数の仲間が増えているからという発想なのですけれど。
穴井…私たちは今までやったことがなかった「全会員訪問に挑戦しよう」と、提起しています。大阪でも 地元産業の不振で、住民生活の基盤そのものが沈下しています。その上、改悪で窓口負担が上がれば、まず病院には足が向きません。安心して治療が続けられな い人や病気になっても病院に行けない人をださないとりくみです。
 また、地域の助け合い活動の分野は、ずいぶんすすんだと思います。高齢者を対象に開いている月一回の昼食会や配食サービス利用者は、始めた時点の倍になりました。ヘルパー事業とともに、介護タクシーをはじめる準備もしています。
 今回「支部づくり」も目標です。
鴻谷…「職員におんぶに抱っこ」ではない、自立した組織になることは大切ですよね。医療生協の特長だ と思いますが、月間についても、支部が自分たちで責任をもってすすめます。むしろ組合員が職員さんを励ますような構図になっているかもしれない。小・中学 校区くらいの範囲で支部がつくれれば、地域がよく見えますよ。

「転換」「医療倫理」問題“綱領”の立場で
司会…地域を見つめつつ、一方で法人や事業所のところでは、転換の課題や、安全性、医療倫理の問題へのとりくみが待ったなしで求められている状況です。共同組織の役割も小さくない。この点については、どう受け止めておられますか?
鴻谷…「事件」はもう起こしてほしくないですね。起きてからあわてるのでは遅いんです。
 県連の臨床倫理プロジェクトに加わったのですが、そこでメンバーの弁護士の「民医連綱領の立場で忠実にやっていれば、この間の事件は起きなかったのでは ないか?」という発言が印象的でした。医療倫理や安全性の問題についても、共同組織の果たせる役割は小さくないと思います。
亀田…あらためて、民医連の原点にかえろう、ということなんでしょうか。事故についても「エラーは必ずあるもの」という前提で、事故を起こさないシステムづくりをしてほしい。
穴井…医療改悪がすすむたび「経営が厳しくなった」とききます。患者の立場からは、経営を守るために、医療の内容がおろそかになることにつながらないか? それが、心配です。
 また「転換」問題では、療養型を選択した病院に「老人病院になったんや」という風評が立ったりしています。「もしもの時の入院先がなくなった」という不安からです。
亀田…石川でも、療養型を選択した病院の周辺で、不安の声があります。地域住民の四分の一が友の会員という地域でも「俺たちの病院なのだから、ちゃんと診てくれ」という声が強かったり。苦心するところですが、よく話し合っていかなければなりません。
 共同組織にも視点の転換が求められているのではないでしょうか。これまで医療といえば、自分の病院のことだけ見つめていた姿勢から「地域全体の医療の中 で、自分たちの病院がどんな役割を果たせるのか?」「開業医や大病院との連携は?」という視点です。
鴻谷…ええ、必要な医療の100%が私たちの病院で完結できるかというと、違いますものね。
 「最初に駆け込み、最後に駆け込む」「困った時の頼り」として、民医連は地域になくてはならない存在だけれど、これから、政府の「病人を病院に行かせな い」「病院つぶし」という攻撃ともたたかって、生き残っていくことも考えなければならない。
司会…「医療を地域の単位で見る」ことが必要だと考えておられると。
亀田…そうです。またこの視点は、共同組織の「安心して住み続けられるまちづくり」に関しても共通し て必要ではないでしょうか。「医療改悪反対」のたたかいでも実感しましたが、地域で「まちづくり」を担える組織は、自分たち共同組織だけでなく、他にもた くさんあります。「安心して住み続けられるまちづくりをしよう」「医療をよくしよう」といったよびかけの中心を共同組織が担って、既存の組織とも協力しあ う、「開かれた民医連」ならぬ「開かれた友の会」への脱皮です。

たたかいで強くなった力さらに広げ
司会…なるほど。今回の医療改悪のたたかいでは「負けた気がしない」という発言も出るほど、運動が広がりましたが、皆さんの実感はいかがでしょう?
亀田…「今回のたたかいで財産ができた」という実感があります。初めて石川県医師会長が、私たちの集 会にメッセージを寄せてくれるなど、つながりのなかった組織・団体といっしょに運動ができたんです。また同医師会長には、私たちの機関紙上でも、改悪強行 への怒りを語っていただくことができました。
鴻谷…私の実感も「負けたけれど、がんばった」と。東京も「国会のある東京でやれることは?」と、六月から国会が終わるまで、連日の座り込みを行いました。今までは目立たなかったけれど、今回大奮闘した友の会も生まれ、組織が強くなるステップになりました。
穴井…「職員さんだけに運動を任せていても、日本の医療は良くならへん」ということがわかってきまし た。駅頭でのビラまきや、地域訪問など、苦手なんですが、職員さんから呼びかけがなくても、友の会として国会行動や地域に出られるようになりました。「あ まりにも政府から出されてくる改悪が厳しく、黙ってられない」という背景もあると思いますが。
鴻谷…「こんなに運動が盛り上がってもダメなんだから、後は政治をかえないとダメ」と、今回のたたかいを振り返って話しあいました。
亀田…そうですね。しかし一方で、友の会の仲間全員で、こういう感想を共有できているわけではないで すよね。強行採決の結果に落胆していたり、改悪の実害を受けてはじめて知る人もたくさんいるはずです。計画している地域訪問などは、そういう面で改悪の実 態をひきつづき知らせ、運動を広げるとりくみになります。
司会…「たたかいで得た元気をこの秋の月間に生かそう」、という流れがつくれそうですね。
穴井…職員の人たちには、「地域に徹した先輩たちの遺産をいま、ひきついでいるのやから、胸を張って地域に入ってきてほしい」と思っています。
鴻谷…全国の仲間には、「楽しくなくちゃ活動じゃないのよ」と言いたいです。共同組織が、暮らしの一部として、「第二の人生」の中心であってほしいと思います。
司会…私たち職員もがんばります。今日はおいそがしいところ、ありがとうございました。

(民医連新聞2002年09月11日/1286号)

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