民医連新聞

2002年9月11日

いのちと人権まもれたたかう列島/「10月改悪中止せよ」「負担軽減策つくれ」各地でたたかいと対応が

 10月の医療改定実施を前に、患者さんの被害の予想が明らかになるにつれ、「実施を中止せよ」の声や実害を減らすとりくみが広がっています。前号に引き続き各地のとりくみです。

医師会など16団体の賛同で抗議集会・署名
 【北海道発】道民医連では、北海道社保協とともに医療改悪の撤回を求める署名を作成しました。
 「来年4月に予定されている健康保険加入者の窓口負担3割への引き上げ(現行の1.5倍)や、医療保険料の値上げ(サラリ―マン1人で年間平均2万円) をやめること」「今年10月に引き上げられる70歳以上の窓口負担を、最大限引き下げること」「リハビリの回数制限や180日以上の入院患者の入院代(月 約5万円の自己負担)など、保険のきかない範囲の拡大をやめること」「これ以上の医療費負担増を行わず、国の財政負担を大幅に増やして、国の責任で誰もが 安心して受けられる医療制度を確立すること」を求める内容です。
 同県では「政府与党の横暴による成立からできるだけ日をおかず、抗議の意志表示を」と、行動するかまえ。8月12日には北海道保険医会が呼びかけ、医療 改悪成立に対する抗議集会を行い、「診療報酬の再改定と、高齢者の定率負担や健保本人3割負担の実施の撤回を強く要求する」決議を採択しました。
 ここには、改悪反対でいっしょにたたかった道内16団体が賛同(別項)。また、道歯科医師会・道薬剤師会の代表があいさつに立ちました。「歯科医師会政 治連盟では、自民党を支持してきたが、このまま自民党を支持し続けるのかどうか、真剣に検討している。医療者は誰も「良質な医療を提供したい」と願ってい る。今後も国民と医療者が力を合わせて運動をすすめることが大切」(道歯科医師会山崎副会長)、「先行き不安の中での負担増は許せない」(道薬剤師会大森 会長)。
〔賛同団体〕
北海道医師会/北海道歯科医師会/札幌市医師会/札幌歯科医師会/北海道薬剤師会/北海道社会保障推進協議会/北海道勤労者医療協会/北海道視力障害者福 祉連合会/北海道健康づくり財団/北海道精神科病院協会/北海道難病連/北海道医師協同組合/北海道身体障害者福祉協会/北海道病院協会/北海道老人保健 施設協議会/北海道肢体不自由児者福祉連合協会

身障者助成制度フル活用して
 【新潟発】沼垂診療所では、関川智子所長を中心に職員が「70歳以上の老人患者の窓口負担増を、どうしたら実施させないようにできるか、軽減できるか」を議論しました。その中で負担がもっとも多くなる在宅酸素の患者さんに焦点をあてました。
 対象となる患者さんのカルテを調べると、Aさんの場合、1回で1万2000点。月に2回の往診で今までは1700円(1回850円)でした。1割負担に なれば最高限度額の1万2000円に。そこで「県の障害者助成制度」の対象になることに目をつけました。
 診断書を作成し、申請したところ1回につき530円の負担で済むようになりました。10月からの負担増がされても、負担金は530円。この他にも、3人 の方が同様に申請し認められています(ただし、県が所得制限を設けるなどの条令改悪したため、全ての患者さんに申請することができません)。
 新潟民医連では、6カ月超の入院患者の特定療養費化に対する助成や「償還払いの簡素化」を自治体に要請するとりくみをすすめています。「医療費にかかわる相談」も宣伝し、業務を強める予定です。

当てはめ作業と高齢患者訪問を全院所に呼びかけ
 【東京発】東京民医連は、全院所・事業所で10月改悪後の患者負担を知るために「当てはめ作業」を行い、職員と共同組織が力を合わせて「全高齢患者さんの訪問行動にとりくむ」ことを呼びかけました。
 七月以降のレセプトをもとに統一した書式で「当てはめ結果」の報告を求めました。訪問行動でつかんだ患者さんの実情も突きつけ、自治体に向けて「償還払いを委任払いに」などの提案をすすめようと呼びかけています。
 東葛病院では、高齢者のレセプトのうち1割弱を抽出して当てはめてみました。半数が負担増になります。うち3割で5000円以上負担が増えます。上限額 の1万2000円を超える患者が八人(5%)。その中には前立腺ガンのため抗ガン剤の注射を定期的に受けている患者さんが数人います。また糖尿病性網膜症 の光凝固を受けたケースでは2万円近くなります。東葛病院の荒巻紀子さん(事務)は、「今後、全職員会議で実態を共有し、地域宣伝や、負担の多い人から順 に訪問する計画です」と言います。
 羽村相互診療所では高齢患者さんの全レセプトを当てはめ。66%が負担増になります。償還払い限度額を超える人は全て在宅酸素療法中の患者でした。
 また訪問看護ステーションからは、頻回に訪問が必要な重症な患者さんの負担が極端に重くなるとの報告が集まってきています。
 東京民医連では保険医協会とも協力し、在宅酸素療法の電気代助成要求の運動をもう一度すすめるなど、都への要求運動を強めるかまえです。

(民医連新聞2002年09月11日/1286号)

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